2018年4月14日土曜日

アニメ「刻刻」は多元宇宙ではなく、コンピュータのプロセスだった

2018年1月期アニメは低調だったのでまだ観てない作品があるわけなんです.

アニメ「刻刻」をようやく観終えました.まぁなんつうか、夢中で見るほど面白くはなかったかな.

キーパーソンの爺さんが、「アリスと蔵六」の蔵六さんに似てるなと思いつつ見ていたのだけど、改めて蔵六さんを見ると全然違うキャラですね.

独特なstoryでした.時間が止まった世界「止界」に入ってしまった主人公家族と、止界のヒミツを解き明かしたい悪党一派との闘いを通じて止界の謎解きが進行します.

水も食糧もふんだんにある止界を見ていて「うる星 ビューティフルドリーマー」みたいだと思いました.「永遠のシャングリラで衣食住の保証されたサバイバルを生き抜く」というメガネのセリフが反芻されます.
最終回で、止界に一人残った主人公のところに、止界の主(あるじ)ともいえるマリアが唐突に出てきます.そしてそれまでの地道な謎解きペースを度外視して「アタシは昔から自由に出入りできるのよ」と強引な種明かしで終わりました.う~ん、、、それって構成的にどうなのかなぁ?

この物語の中心は何と言っても止界の謎です.止界の設定は、物理学の多元宇宙論を引用しているのかとおもいきや、それとは無関係でした.
むしろ、コンピュータのプロセスとかスレッドっぽいところが興味深い.UNIXでプロセスをfork()した瞬間にhang-upした子プロセスが止界であると表現したら判る人には判りやすいかも.子プロセスの処理が終わって再び親プロセスが動き始めたとき、親プロセスは自分が気絶していたとは気付きません.止界と通常界の関係もそうなっているようです.

止界の生成消滅はどうするのか?
爺さんは止界に入れる(fork)者の一人です.
止界から出て(exit)通常界へ戻る(親プロセスへreturn)のも爺さんの能力.
また、止界で動ける力を任意の人に与えるのも爺さんの能力.デバッガみたいだ.
←皺が多くモデリングが大変そうです
止界にはカヌリニという化物が棲んでいます.止まっている人々に危害を及ぼす者を成敗するのがカヌリニの仕事です.これは変数を壊すなーというmutexみたく思いました.

止界は無数に存在するのか? 1つだけなのか?
止界ではぐれた家族を捜索するため22年ぶりに止界に入った女性が登場します.22年前には、爺さんが生成した止界に女性も別ルートから入ったのでした.
どうやら止界は1つだけのようです.複数ルートから入っても同じ止界であること、22年前の止界と現在の止界に何らかの連続性が在ること、それらから止界は1つと思われます.

止界はその都度初期化されるのか?
2018年の止界には、22年前の痕跡はありません.なので止界は生成毎に初期化されると推測します.forkされた時点の親プロセスのメモリコピーが子プロセスに渡されるのと類似です.

誰も利用していないときに止界は存在しているのか?
ゾンビプロセスみたいにゾンビ止界が残っているのかもしれませんけど、ゾンビ止界には二度と入れないみたいですから、事実上存在しないのと同義かと思います.カヌリニは止界のon/offと無関係に存在してるので、カヌリニの居場所としてゾンビ止界が活用されているのかもしれません.

誰かが止界を利用中に、別の止界を開けるのか?
だめっぽいです.開催中の止界に入ってしまうからです.new止界をforkしたくば、誰も止界を利用していないのが条件のようです.だとすると後から止界に入った人は、過去のコピーを目にするのでしょう.

止界で活動している者は年をとるのか?
髪の毛が伸びるのですから、止界で活動中の人は年をとるようです.

止界の時間と通常界の時間は関連するのか?
「刻刻」の最終回を見た印象では以下のように考えられそうです.
8時に爺さんが止界へ入ると、爺さんは現実界から消える.止界で1時間経過後に爺さんは止界から出る.すると9時に爺さんは現実界に現れる.つまり、止界で活動した期間は現実界で不存在になる.
これに関連して、止界でノートに記された文字は、時間遅延を伴って通常界に出現するように思います.プロセス間通信かw


原作者の堀尾省太はコンピュータ技術者上がりかと思っちゃった.

かしこ

0 件のコメント:

コメントを投稿