2019年7月25日木曜日

天気の子、ちょっと粗雑ですかねぇ? 100億円コースか

天気の子、100億円ぐらいじゃないかな?

前回、「君の名は」での新海誠は「やろうと思えばサービス満点映画も作れるんだ」と証明したかったのだと思う.自己のキャリア形成のためにはそれが妥当だ.
今回、「天気の子」ではサービスを止めた模様.今回はオレの好きにさせて貰うな新海誠だった模様.
その結果、「秒速5センチ」までの病的チックな新海誠が戻って来たのはヒラサカ的には良かった.だがそれは、「君の名は」を250億円に持ち上げた一般客を突き放すことになるだろう.100億円ぐらいで止まるんじゃないの、天気の子は.

100%の晴れ女は、東京が滅ぶか滅ばないかを決める能力を持つ.しかし主人公は決断する.セカイの1つや2つ滅ぼうと知ったことか、僕は君の事が好きだから一緒に居てくれ、というのが本作の結論.(ヤマト2202でゾーダー大帝が古代に突きつけた悪魔の質問への新海なりの回答かと思っちゃったw)
そして最後のセリフは「きっと僕たちは大丈夫だから」だった.これって「秒速5センチ」の超重要セリフだもんなぁ.新海誠病的バージョンお帰りなさい、うはは~

いつもの新海の背景画の清澄さは少なかった.降雨シーンばっかりなので仕方なし.

以下は問題点について.

還暦を過ぎた大御所映画監督がやたらと独りよがりな映画を作ってしまうケースがある.思考力が衰えると「これでいいのだ」になってしまうからだと思われる.天気の子にも同様の「これでいいのだ」臭が漂う.オイオイ新海さん、それで大丈夫なのか?

「天気の子」のキャラ設定はあっさりしすぎ、ステレオタイプでつまらないものだ.
・主人公の属性は離島の家出少年というだけ
・彼女の属性は親が死んで姉弟でアパート住まいというだけ
・スパイクみたいなおじさんがキャラ設定的に最も凝ってはいたが、離婚して呑み屋のマスターを少しやったけど休業中で、今はフリーライターとかいう設定らしい.でもそれがstoryの駆動力になってないんだ.彼は何のために登場したんだろう?
・離島の家出少年が歌舞伎町に上陸して怖い目に遭ったからって、そんなステレオタイプなstoryなんか空虚である
・そもそも主人公が家出少年である必要性が本作にどれだけ在っただろうか?
・彼女と弟が都会に隠れ棲んでいる必要性がどれだけ在っただろうか?

こういう穴ボコだらけな映画を粗雑な映画と呼ぶのだ.

過去の新海誠作品は、設定説明を抜かりなく行ったし、設定とstoryが密接だったと思うんだ.
例えば「言の葉の庭」では、靴職人を目指してアルバイトに精を出す世渡り上手な高校生と、学級崩壊で精神を病んだ世渡り下手な女教師だった.そのキャラ設定と、「素直になれよ」というアドバイスstoryとのマッチ度が高かった.よく練られた映画だと思う.

ところが「天気の子」ではなぜか、従来の丁寧説明方式を中止し、「君の名」のサービス満点方式を中止し、従来の病的storyを復活させた新海監督だった.彼がなぜそうしたのか、謎めいている.結果が優れているのなら合点が行くのだが、そうではないのでねぇ.

追記:言の葉のタカオは高校1年生、天気の子のホタカは高校1~2年生.タカオを描写したのと同じ監督がどうしてホタカの薄っぺらな描写にまで劣化できるのだろう? 謎だ.

もう一回観るであろう.

#ドレスコードありにつき、所有者はムーTシャツを着用のこと.
かしこ

5 件のコメント:

  1. 急いで作っちゃったんですかね。
    でも今のご時世で100億稼げればすごいですね。
    昭和世代の自分には全然良さがわかりません。
    (>.<)

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    1. 条件付きで高い能力を発揮するが、条件が揃わないとハズす監督さんがいますけど、新海さんはそれが強いタイプなのは昔から承知してます。でも今回のはいまいちだなぁ。

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    2. コナンの興行収入は劇場版の度に60億円なんか軽く超えてるんじゃなかったかな?
      コナンの事業規模と安定性に比べたら3年ぶり新作が100億じゃ周囲の期待に応えられず針のむしろじゃないかってのは心配のしすぎだよね。
      きっとそうだ、そうに違いない。どうかそうであってくれぇぇ、、、

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    3. この人はヒットビジネスに組み込まれて踊り続けるより自分の好きなものをコツコツ作り続ける方が自分も周りも10年後は幸せになってそうですけどね。

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    4. そっちへ向かうつもりのようです

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