オーディオマニアの読者諸氏はご存知かと思うのだが、Rapsberry piにDAC基板を取り付けてHiResオーディオ再生機として愉しむ人が多数いるらしい.
秋葉原のコイズミ無線でもラズパイオーディオ商品をいろいろと扱っている. →こちら
ラズパイオーディオではどんなDACが使われているのだろうか?
コイズミ無線のDAC基板から拾うとこの4つが見られる.
PCM5122、PCM5142、ES9023、ESS9038Q2M
これらのうち、前3者のプリント基板は数千円で買えるが、ESS9038プリント基板はなんと4万円もする.高いなー.しかしこれとて9038PROではない.さすがにラズパイに9038PROをひっつけようという酔狂な者はほとんど居ないんだろう.すげー高価なはずだから.
わたしはいま、AK4495 DAC基板を自作している.
AK4495のランクをお値段で表示するとこんな関係だ.
PCM5122=PCM5142=ES9023 < AK4495 < ESS9038Q2M
AK4495プリント基板をラズパイオーディオ向けに売り出すならば、1~2万円ぐらいになるイメージだろうか.評判次第では買う者がいてもおかしくない価格だと思う.
だが、なぜかAK44xxをラズパイオーディオで見かけない(わたしは知らない).
それには技術的理由がある.ラズパイにAK44xxを取り付けるのはめんどくさいのだ.
ラズパイオーディオのDAC基板は、I2Sというシリアルバスの一種でラズパイ本体からオーディオデータを受け取るのが一般的である.I2Sの信号は、LRCK、BCLK、DATA の3本である.
ところが一般的にハイレゾDACは3本の他にもう一つ、MCLKというclockを要する.MCLKはBCLKの2倍の周波数だったりする.(必ずしも2倍ではないが)
だけど有り難いことに、PCM5122、PCM5142はIC内部でMCLKを生成してくれるので、MCLKを調達する必要が無い.それがラズパイオーディオ基板にPCM51xxが多く採用されている理由と思われる.
海外通販サイトの取り扱い商品で、PCM5122を搭載した数千円程度のラズパイDACの例はこんなものである.現物写真と回路図から、ラズパイ=マスター、DAC=スレーブであることがわかる.最安値を実現する構成ですな.(上で触れたESS9038Q2Mの4万円のやつはDAC=マスターだそうだ)
つぎにES9023はMCLKが必須であるが、datasheetには「192fsより高周波数のclockならなんでもいい」と読める記述がある.周波数がアバウトでよいのならテキトーなX'talを載せときゃいいので設計の悩みは無い.ESSを詳しく知らないので憶測ですが.
さて、AK44xxのMCLKはというと、LRCKと同期したclockじゃないとダメなのだ.これはかったるいですぞ.PLL回路でBCLKを2逓倍せないかん.適したICは存在するのだろうか???
12MHzを24MHzに逓倍してくれそうなPLL ICを探してみた.
そしたら良さそうなのがあったのよ.
IDTというUSの半導体メーカーで、1990年代にWinChipというx86互換CPUを出してた会社だ.懐かしい、、、今でもマイナーな会社かなぁ.
IC名称はICS570という.中華通販で@¥100ぐらい.
機能はこれだけ.いかにも周波数逓倍用途なブロック図である.入力clockと出力clockの位相マッチングもやってくれるので便利でいいぞ.シブイICを出してるね、IDTさん.
先だって、XMOSのclockに2.5nsのjitterがあると書いたが、XMOSのclockにICS570をかませるだけでjitterの大幅低減も恐らく可能であろう.そういう意味でも有用なICと云える.(ICS570の出力jitter SPECは80ps(1sigma)だそうだ)
夢はそれだけではない.
S/PDIFの受信回路のPLLがどんな不潔なclockを生成してるか判ったもんじゃないので、わたしはS/PDIFが怖くて使う気がしない.その不潔なclockにもICS570をかませれば音質が改善する可能性がある.
まぁ、ICS570よりもさらに100倍ぐらい高性能な、clock jitter attenuatorというICも在るのだがお値段も100倍ぐらいするんで使えないですわ~.
まずはclockから始めよ.
かしこ
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