これが今作っている回路です.右側の基板が信号発生回路で、左側がいろいろと増幅したりする回路(製作中)です.要求SPECが厳しいので、ありふれたトランジスタでは実現できず、秋月電子や通販で高周波&ハイパワーなトランジスタを片っ端から入手してとっかえひっかえしています.
というわけで今回はわたしのトランジスタ遍歴について書こうと思います.
↓1970年代の回路ヲタク少年向けの雑誌でわたしが好んでいたのが「初歩のラジオ」でした.この当時の定番トランジスタは2SC372でした.今でも一部のネット通販で入手可能であるようです.この頃のトランジスタはなぜか土星の輪のようなツバがついていまして、このツバに何の意味があったのかは不明です.
あとおなじみだったのが2SK19というFETでした.コンデンサマイクとバリキャップと2SK19の組み合わせで作ったFMワイヤレスマイクで中学校の放課後に電波飛ばして遊んでました.2SK19にも土星の輪がついてました.
↓1970年代後半に、50MHz帯アマチュア無線の無線機、TORIO社のTR1300と、10WブースターVL1300を使っていたわたしでした.TR1300の出力は確か1.5Wぐらいで終段が2SC1306でした.VL1300の終段が2SC1307でした.VL1300にアンテナを繋ぎ忘れてマイクに向けて喋ってしまうと、行き場の無い高周波電力が2SC1307めがけて逆流(反射)してきて、2SC1307が簡単に焼け死んでしまうんです.煙でも出リャ「あぁ~死んだ」とあきらめがつきやすいのですが、黙って死ぬんで始末が悪い.
すると、当時のソニー厚木1TECの正門の近くにあったアマチュア無線屋にVL1300を持ちこんで修理してもらうんです.店のお兄さんが目の前でトランジスタを交換して、SWRメーターを見ながらマッチングのLCを調整してました.2SC1307が800円で技術料5000円ぐらいだったかな、中学生には痛い出費でありました.
↓その後、2SC372が下火になり、2SC1815を使う機会が多くて、今でも2SC1815は現役で使っています.パッケージもお馴染みの形状になりました.
↓就職して、業務用ビデオ回路でたくさん使ったのは、確か2SC2458でした.角張っていてやや小さいんだよね.1990年代初頭の業務用ビデオはまだこのようなリード部品を使う機種もありました.
↓2000年が近づいてきた頃、テープストリーマの記録アンプに導入されたのが2SC5551という高速&中クラスパワーなトランジスタでした.FT=3.5GHzで300mAで元はサンヨー製だったと思う.
100mAクラスの小信号トランジスタならばFT>10GHzの製品もあるんだけど、300mAでFT=3.5GHzっていうのはなかなか貴重な製品でした.2010年を越えてテープストリーマが生産中止になるまで使ってました.今でも別のメーカーが生産しているようで入手可能です.
それで、冒頭の手作り中の回路で、願わくば10GHzで1A流せるようなトランジスタを欲しくて、ネット通販をいろいろ探しましたがそんなの無いんです.ご存知でしたらどうか教えて下さいませ.
その探索で悟ったのは、2015年の今でも、2SC5551のそこそこのFTの高さと、そこそこの高電流さは、貴重な存在だということでした.廃品種の中には凌駕する製品があったのかもしれませんが、ネット通販の検索にひっかかる品種では2SC5551がThe king of transistorである、というコトなのでした.
It's my honor. > 2SC5551殿
追記: 入手性は良くないものの2SC5754というFt=20GHz Ic=500mAという魅力的なTRがあるようです.NESG270034というSiGeトランジスタはFt=10GHz Ic=750mAとこれまた魅力的.だが少量では入手難.ちくしょう
追記: ソニー厚木1TECの正門の近くにあったアマチュア無線屋が何だったか思い出しました「西湘ハムセンター」でした.
かしこ
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2SC372という型名を見るだけで、なんとも言えない気持ちになります・・。
返信削除回路設計三昧の生活なんて、うらやましすぎますー。
我々が自転車乗ってた時代ですね.
削除管理職よりも設計者の方が面白いですわー
田舎で6mは誰もいなかったです。同じ筺体の2mのTR2200GⅡを持ってました。懐かしい。
削除トランジスタで検索するといろいろ面白いですね。こんなのがありました。
http://www.toragi.com/x/museum/toragi/ad/Sony%20-%20Transistor%20prices%20on%20Toragi%201964%20Oct.pdf
すごい値段。特価品の特性は保証いたしません。ってB級品も出してたわけね。
144MHzですね.クルマでモービルとかでしょうか?
削除しかしTRの値段の高さがすごい.S39の¥500とか¥1万って10倍ぐらいの価値があったかもです.
S39の物価 → たばこ(ゴールデンバット)30円、 新聞購読月390円 はがき5円ビール115円 映画封切館350円 国鉄初乗り10円
私はRJX-601でした。回路設計できる方を今でも尊敬しています。初歩のラジオなどの掲載機器を作ろうとして、入手困難な抵抗などを近似のもので作ろうとして、動作しない経験ばかりで、高校時代には、電気物の才能がないと諦め、機械系の工学部に進学しましたが、今でも回路屋に憧れています。JF1UIC/3
返信削除RJX-601はとてもカッコイイ無線機でした.
削除回路は作って潰しの果てしない繰り返しでだんだん判るようになるように思います.
NESG270034はどうでしょうか
返信削除SiGeですね、これはおもしろそうです.
削除RS,digiley,mouser,chip1stopの中でchip1stopだけ在庫があるっぽいです.
入手できるかどうかトライしてみます.
ありがとうございました.
2SC4703 6GHz 1.8W と ちょっと低いですが、
削除akizukidenshi.com/catalog/g/gI-03014/
何種類か
削除japan.renesas.com/products/microwave/download/eb/index.jsp
2SC4703だとチト電流が少ないです.
削除ルネサスのラインナップは、元NECのデバイスの流れでしょうか?
URL が違っていました。 12V150mA1.8W 実質700MHzでしょうか
削除akizukidenshi.com/catalog/g/gI-06292/
NECですね
documentation.renesas.com/doc/YOUSYS/document/PU10339JJ01V1DS.pdf
パラ(バラン整合)なんてのもありましたが、電流は判りません。 PP有りかも?
削除sakusakujisaku.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-c27d.html
参考表
www.nxp.com/wcm_documents/products/related/philips_rf_manual_7th_edition_japanese.pdf
150mAでも電流足らずで、現状では600mA流してます.放熱器つけてます.
削除基板を見たら周波数は低そうですね、
削除パルス回路でしょうか?
analog 100MHzぐらいです
削除間違っていたらごめんなさい。
削除普通のTRではコレクターが放熱ですから使いにくいです。
akizukidenshi.com/catalog/g/gI-00038/
http://park10.wakwak.com/~daisuke_elec/radio/pf0027.html
これの中にはFETが入っており、終段用はそこそこ使えますが、タンク回路があり周波数範囲が狭いです。(相当品が探せれば良いんですが)
以前東芝のオーディオ用MOSFETに電流を流してみたらUHF領域で発信して困ったことがあります。
あるいは アナログ的だったら 2SC4703 の パラ コレクタ接地に出来るかです。
電流限界を超えたくてパラも試しましたが、コレクタ容量もパラになるので、周波数応答が劣化するのとのトレードオフで、悩ましいとこでした.
削除RJX601懐かしいですね。開局時に使ってました
返信削除欲が出て2SC1307でブースター(リニアもどき)つけて、ひどいAMを出してました
更に欲が出て パラにして VCCに24V掛けたら あっけなく昇天
TV球でリニアは キャリア10Wでも 飽和出力が高かったのか
割と良い変調でした。
良い時代でしたm(_ _)m
ひどいAM、この言葉には様々な含蓄がありますね~
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