2015年4月8日水曜日

身につまされる 「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」

信州大学の入学式の学長の祝辞で「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」とおっしゃったというのが話題になっているようで、いやはやわたしにとっても痛い指摘と受け止めております.ごく単純化すると、信州大学長はスマホばかりやってないで書籍を読めと言ってます.

わたしはアニメとか映画とか、とかく映像(ビジュアル)なインプットに晒されるタイプの脳の使い方ばっかしな人間です.

ビジュアルメディアの宿命的欠点は、映像作家の好むテンポで発せられる情報に、視聴者がテンポを合わなくちゃいけない、という点だと思います.だからビジュアルメディアを視聴中にテンポについて行けなくて、意味不明だけどさておく、意味不明だけどさておく、、、、の繰り返しになって、結局主人公と敵方は何故闘っているんだっけ?みたいな根本設定が不明なまま1クールを終了するファンタジー系バトルアニメなんかたくさんあります.(わたしの場合)

流れ去ってしまうビジュアルメディアは、複雑な論理を展開するには不向きなメディアだと思います.学問レベルのツールとしては、書籍メディアに軍配が上がる.

世間ではあまり評判のよろしくない「フィフス・エレメント」というSF映画がありまして、あの映画の論理はというと「5番目の要素は愛なのだ愛」としか言ってません.そういう単純さがビジュアルメディアの得意とするところなんじゃないかと、わたしは思います.(わたしはフィフスは大好きです)
単純さの類例ですが、平易な解説に徹するとビジュアルメディアは威力を発揮します.TV番組の「特命リサーチ200X」は短時間レクチャーの金字塔だと思っていて、手短に分かり易く解説出来ていました.ビジュアルメディアの良い意味のお手本だと思う.

信州大学学長が批判していたスマホはどういう特徴のあるメディアかというと、「特命リサーチ200X」型の短時間レクチャー型メディアをさらに進化させたメディアだと言えるのではないか? つまり「耳年増」になりたいなら大助かりなメディア.けれども、耳年増(知ったか振り)には容易く成れても、学術レベルの知識集積には遠く及ばないし、情報処理能力の訓練にはならない.wikiを読める人には成れるけど、wikiを書ける人には成れはしない.
信州大学長がスマホを批判するのはそういった文脈だと思う.少なくとも大学生ぐらいの時期は書籍や論文ベースの知識習得に慣れよ、というのは正論と思われます.

もっとも、自分の若い頃はそんな偉い人間じゃなかったですけど...その結果かどうか、ビジュアル偏重の「消費豚」になってしまいましたw

物書きを職業にしている人って、読む書籍の量が異様に多くて、書籍を読むスピードも異様に速いじゃないですか.わたしは、あの真似が出来ないんです.読むのが遅いの.読むのが遅いのは書籍だけじゃなくて、マンガを読むのも遅い.だから、マンガ喫茶に行っても元を取れないんです.マン喫で1冊読む時間料金よりも、1冊買った方が安いじゃんみたいな羽目になってしまいます.

「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」という祝辞には身につまされる思いなのであります.

かしこ


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4 件のコメント:

  1. ソニーOB:佐藤2015年4月8日 23:33

    首都圏に来て早くも1週間過ぎました。約2か月の東京生活です。そのうち武蔵小金井の鈴木たばこ店の看板犬を見に行くつもりです。
    いろいろ仕事上の裏話も聞けて面白いです。

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    1. ようこそ東京へ.ケイコとマナブですね.

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  2. ビジュアルメディアの宿命的欠点は、映像作家の好むテンポで発せられる情報に、視聴者がテンポを合わなくちゃいけない、という点だと思います
    wikiを読める人には成れるけど、wikiを書ける人には成れはしない.
    生産でなく消費向き。

    なるほど、相変わらずするどいですね。
    ビジュアルはフローで消費がメイン、論理や思考はストックからの生産ということでしょうか。

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    1. 子供が中学一年に成ったので教科書をザッと見ましたら(理系科目のみ)、自分の時代よりも習う内容が高度化しているような気がしました.その根拠はオレ、ってやつですが.

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