ひら的にはかつてのDRAMを思い出します.
日本のDRAM生産各社の業績が悪化して、日本政府が支援するエルピーダに統合されました.それでもエルピーダのDRAMビジネスは厳しい情況が延々と続いています.
皮肉だなぁと思うのは、かつては国家戦略として保護育成する必要が在ると考えられたDRAMが、今となっては重要度が低下してしまったことです.DRAMだけでなく、IntelのCPUもMS Widowsも、PCの販売が頭打ちになって以降は、重要戦略物資としてのランクがガタ落ちしたように思います.
OSはLinuxでもいいんじゃね? 事務作業は非officeでもいいんじゃね? CPUはARMでもいいんじゃね? そもそもPC使わなくね? って... かつてのメインフレームがダウンサイジングと称するPCに侵食されたように、いまのPCはスマホとクラウドサービスに侵食されまくってます.
信号処理性能の重要度低下が見られるハイテクビジネスの風景の中で、データストレージの重要度は未だ衰え知らずであると思います.
なぜなら、スマホを使う一般人がSNSや写真や動画という形でどんどんデータを生成するようになり、そのデータがスマホのフラッシュに蓄積し、フラッシュが満杯になるとクラウドにデータ移行する.クラウドとはすなわちどこかのデータセンターのHDDかフラッシュです.データセンターの記憶容量が足りない...
データセンターの経営者が消費電力が大きいHDDに期待しているとは思えず、彼らの頭はフラッシュへの期待でパンパンになっていると思います.
だから、東芝フラッシュビジネスを2兆円でも3兆円でもいいから買収したい人が居る.また、日本国としても東芝のフラッシュを保護したい.日米は東芝をシナに渡したくない.東芝フラッシュを巡ってそんな思惑があるわけですよね.
たださぁ......とはいってもねぇ.....
DRAMやCPUやOSというあれだけ重要と思われた戦略的テクノロジが、なんだかもう往年の輝きを失ってしまった現場を我々は目の当たりにしているわけですよね?
だったらフラッシュもそうならない保証が何処にあるんだろう? と思うんです.
DRAMの輝きが失われた理由は、もうそんなに大容量でなくても良くなっちゃったからでした. →飢餓感減少
Pentiumの輝きが失われた理由は、ARMという代替品の性能で充分になっちゃったからです. →唯一感減退
Windowsの輝きが失われた理由は、Linuxという代替品で間に合うようになっちゃったのと、モバイルOSの方が数が多いからです. →唯一感減退
それでは現時点のフラッシュの置かれた情況はどうでしょうか?
・ストレージ容量は不足気味 →飢餓感あり
・フラッシュの代替物はあるか? →無い (HDDは過去の物)
どうやら、長期間に渡りフラッシュビジネスでenjoyできそうです.DRAMやCPUやOSよりも長くenjoyできそうです.
ただそれでも、いずれはフラッシュの栄華ですら終わる日が来ます.
i386やi486を渇望していた1992年ごろから数えて2017年の今は25年後の未来です.四半世紀も経てば、技術も市場も様変わりするものです.
フラッシュが2017年の今を起点にした25年後、すなわち2042年まで順調に大容量化を果たせるとは少しも思えませんし、それ以前にスマホのストレージ容量が1TBになる日が来れば消費者の飢餓感も失せるに違いありません.また、フラッシュがNRAMのような新参メモリに駆逐されるかもしれません.
フラッシュビジネスで10年間ぐらいはenjoyできるかもしれないとは思いますが、その先はもはや「10年先は闇」ではないかと、半導体業界をそのように見ますね、わたしは.
だから、東芝のフラッシュビジネスに国家戦略的な匂いを嗅ぎ付ける必要性は、今日の我々が危惧するよりも少ないのではないかと思うんです.拘ったとしてもDRAMの二の舞になるかもしれません.
ゆえに、東芝フラッシュの売り先がホンハイでもOKかもと思うんです.ホンハイは面白いかもしれませんよ.中華クオリティでbit単価が異常に安いゲテモノフラッシュをホンハイが作るかもしれないから.そういうゲテモノは中華様にしか作れないから.(以前こちらの記事で書きました)
だいたいですね、ストレージなんか、少々エラーが生じてもOKなんですよ.エラー訂正するなり、RAIDにするなり、システムでリカバリできるようにしておけばOKなんです.モバイルデバイスのストレージではエラーが多発すると厳しいかもしれないけど、データセンターならエラーリカバリをシステムで行うことが最良のコストパフォーマンスへの道であろうと想像します.
てなわけで、Appleホンハイが3兆円で本当に買ってくれるのなら、それでもいいかなと、東芝フラッシュについては醒めた目線でいるわたしなのでした~
かしこ
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