STM32でDDCは作れてもAKM火災でわや （その４ 乱世編）

告知です．

コミケ99にて当社のDDC/DACを頒布いたします．

  日付   2021年12月31日（金） 東地区 テ－４０ｂ  東５ホール

  サークル名    bangflat

コミケにお越しの際はお立ち寄りいただけますとありがたいです．

商品紹介ページを作りました．

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STM32でDDCを作ろう！

あっ、それ無理！ というわけでAKMの火災の影響の続報です．

「アマチュア無線総合サイト」なんてのがありまして、こちらの記事によると、JVCケンウッドの無線機がAKMのICが入荷しないためほぼ全機種が生産できない、のだそうです．

いや～、無線機だけじゃなくて、カーオーディオなども全滅してるんじゃないんですかねぇ？

電機メーカー界隈で長年仕事をしてきたヒラサカですが、AKM火災ほどのセカンドインパクトは記憶にないです．

記憶に残る大惨事は2011年のタイの大洪水でした．工場が水没して大変だったそうです．部品が入荷せず生産不能になった機種が多く生じ、業界全体に影響が波及しました．あれは一大事だったなぁという記憶です．資材屋とか損保屋にとってタイの洪水は語り草なんじゃね？ ちなみにわたしは2010年末でソニーを退社してたので直面はせずに済みました．

ヒラサカの記憶が正しければ、タイの洪水でHDDメーカーが復活したという面白い現象が起きました．当時HDDが値崩れしてHDDメーカーは青息吐息でした、ところがタイのTDKのHDDヘッド工場が水没し、HDDの生産が世界的に縮小．それが協調減産の役を果たし、その結果ラッキーにもHDDメーカーの生命が救われたのです．
秋葉原のHDD価格をwatchしていた方々には、2010年から2011年頃にHDD価格がドカドカ低下して喜んでいたのに、突然HDD価格が高騰に転じそのまま価格下落せずに何年間も経ってしまったのをご記憶の方がいるのではないでしょうか？

お前らはOPECかと思っちゃったぞｗ    ＞   HDDメーカーさん

タイには半導体fabがあるのか？ わたしは聞いたことがないです．packaging工場ならあるかもしれませんが．

タイの工場は、プロセス工場よりもアセンブリ工場が主であると思っています．アセンブリ工場は、金型とマシンを救済できれば復旧は容易ですから（プロセスに比較して）水が引いて保険にケリがつけば復旧はスムースだったんじゃね？

さて、AKMです．

半導体は、代替品が豊富にある汎用品と、メーカー独自企画の特殊品に分けられます．

FlashやDRAMは汎用品に近いです．（ホイホイと生産投入できるほど甘くはないけど）

AKMは汎用ICは１つも作ってないんじゃないかな？ DACも無線ICもAKM独自企画のICであって、AKMが生産停止しちゃったら代替品が無いので、死に方が激烈なんですよね．

JVCケンウッドの無線機が全滅したのはAKMの無線ICが枯渇したせいでしょう．RF性能を決定するkey partsですから軽々しく再設計できないのは理解できます．すでに生産停止→ディスコンになるのではないかと危惧される機種もあるらしいです．

不思議と、スマホメーカー界隈からのAKM巻き添え生産停止の報は聞こえてきません．これからですかね？

AKMには復活を期待しますけど、仮に復活したとしても今後のビジネス環境は厳しいと思います．損害賠償を要求されるかもしれません．損害賠償に事業部が耐えられるかどうか？ 損害賠償に耐えたとしても、堕ちた信用は元に戻らず、逃げた客は戻りませんし、新規採用を躊躇するようにもなります．

わたしも同様の経験があります．逃げた客は戻りませんでした．

SANYOの半導体が中華企業に身売りした時は、「中華に身売りだなんて供給は大丈夫なんですか？」とSANYOの営業にしつこく聞いたら、逆ギレされたこともありました．でもこちとらサーボICをディスコンされたら死活問題です．まして、中華に身売りしたSANYOのICなんか新規採用は絶対にしません．信用というのはそういうものです．

当面のAKMの課題としては、火災の原因をお客さん（資材部門）にきちんと説明できるかどうかが重要だと思います．その原因があまりにもプアな、管理不行き届きみたいなものだったら愛想を尽かされるだけかもしれませんが．少なくとも「原因不明です」は許されないでしょう．「原因不明」を念仏のように唱えていたら、、、それは事業撤退のサインかもしれません．ひぇ～っ

エイメン