鬼滅の刃 興行収入watch 第11週 324.8億円 歴代１位おめでとう

皆さんこんにちは．今週も、鬼滅の刃興行収入watchのお時間がやってまいりました．

このめでたき日を勇者の皆様と共に祝えることを喜ばしく思います．

そして、歴代１位の週に間に合わせまして、わたしもTV版鬼滅を全部見ました．下の方に感想を書きました．

さて、鬼滅公式からの速報です．なんと、＋１３億に加速して、累計３２４．８億円になり「千と千尋」を超えて歴代１位でぇす．おめでとうございます．

この加速ペースに加え、正月で人出が増えると、最終的に３５０億で止まらずに３８０億とかもありえますかね？ グッズを配れば４００も夢ではない手応えを関係者は感じていたりしてｗ

興行通信社の速報が出ました．イイネ．これを見たかったよ．

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TV版の鬼滅を観終えました．

以下は言い古された事と思いますが、感想です．

ufotableの作画は素晴らしいです．TVなのに劇場オリティです．fateでセイバーの動きが速過ぎて見えないし描けないため、衝撃波を描くことで高速機動を表現しました．そのテクは鬼滅でも生きていて、カッコイイ戦闘シーンになっています．高く評価したいです．

storyや演出に新しいものは無いのですが、逆説的にウケた理由はそれですね．

鬼滅を観ていて、昭和のアニメを思い出しました．例えばタイガーマスクです．タイガーマスクの主人公伊達直人は戦争で家族を失った孤児で、ファイトマネーを自分の出身孤児院に寄付しています．昭和40年代にはそういうstoryがよくありました．わたしには炭治郎と伊達直人がダブって見えました．

かつて辻真先という脚本家が多くのアニメ脚本を書いてました．彼の脚本は、家族の絆、家族を失った悲しみをベースとした昭和っぽいstoryが多かったです．

そういう辻真先的なstoryに反発する人々がアニメ業界にいて、「家族の絆なんか終わりだぁっ」と叫んだかどうかは知りませんけど「機動戦士ガンダム」を作りました．第13話「再会、母よ…」なんか悲惨なハナシで、戦争で離れ離れになったアムロとアムロの母が戦場で再会するのですが母には間男がおり、アムロは母に敬礼してホワイトベースに戻ります．ブライトは「お子様をお預かりします」と言い残し、母は泣き崩れる．そこには家族の絆なんかありません．

ガンダムのimpactは巨大であり、実際にそれで日本のアニメシーンはすっかり変わってしまいました．家族の絆ベースの企画は減ってゆきました．
ガンダムと並行して放映されていた「銀河鉄道９９９」は機械伯爵に母を殺された星野鉄郎の復讐劇と言えますが、家族の絆ベースのメジャーアニメは９９９で打ち止めになったかなと思うんです．

その後の４０年間は、ヲタクの細分化されたフェティシズムをあの手この手で満たすことでアニメ業界はどんどん巨大化して来れました．コアヲタク企画で長年enjoyして来れたアニメ業界は、2010年代になっても業界の目指す方向性はフェティシズムをどんどん先鋭化する方向だったわけです．
「まどかマギカ」はヲタク記号の乱れ撃ちで視聴者を油断させておきながら、予想もしない哲学的仕掛けで大ショックを与えました．
「冴えない彼女の育て方」なんかどんだけ重箱の隅ネタなんだよと言いたいです．わたしは大好きですけど．

しかし残念なことに、コアヲタク相手の商売はvolumeが小さかったのです．あのエヴァ新劇場版ですら、興行収入は序２０億、破４０億、Q５３億でしかないのですから．

鬼滅の興収は最終的に３５０億円を超えるでしょう．鬼滅の客層は、子供が鬼滅を観ていて、親がつられて鬼滅にハマった、などというカジュアルヲタク層に拡散しています．カジュアルヲタクは、コアヲタクの数倍も潜在していたんです．鬼滅はその市場を掘り起こしたと思います．
鬼滅を観ていてわたしは何度も思いました、「みんな意外にヒューマニズムなstoryが好きなんだねぇ」って．きっとカジュアルヲタクは、ガンダムが淘汰した辻真先的storyに飢えていたのだと思います．2020年の今、３５０億円ものマーケの真空地帯が在った．それが鬼滅が大ヒットした理由だと思います．

今後、カジュアルヲタクをtargetした企画がいくつか登場するでしょう．でも、何が当たるかは予見できないと思います．カジュアルであってもヲタクはヲタクですから、「善逸の剣技がメチャかっこいい」などのフェティシズムはあるわけで、家族の絆storyを作っただけで成功すると思ったら甘いでしょう．

いま、「呪術廻戦」の劇場版は鬼滅を超えるか？という分析があるようですが、わたしは超えないと思うんです．理由は、呪術廻戦の方が鬼滅よりもコアヲタク寄りだからです．上で述べた、カジュアルヲタク＝昭和story飢え、という仮説が正しければ、呪術廻戦はコアヲタク寄りであるがゆえに市場が小さく、鬼滅の興収には届かないと予想されます．

一過性の試行錯誤を経て、アニメ業界は堅実な商売に戻ると思います．堅実な商売とは、原作に忠実に作れば原作ファンには少なくとも訴求出来るから、、、みたいなKADOKAWA的なコアヲタク向け企画です．

鬼滅は、興味深いマーケティング的現象を見せてくれました、わたしにとって．

正月には、奥さんと「無限列車」を観に行きます．夫婦５０割でな．

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かしこ