2020年12月3日木曜日

DAC AKM4495とES9038Q2Mの違い(data sheet)

告知です.
コミケ99にて当社のDDC/DACを頒布いたします.
  日付   2021年12月31日(金) 東地区 テ-40b  東5ホール
  サークル名    bangflat
コミケにお越しの際はお立ち寄りいただけますとありがたいです.
商品紹介ページを作りました.

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AKMの火災のせいでAKM DACが入手できなくなってしまったので、ESSのDACを試作しようと思います.datasheetを読んでいるところです.

似た者同士ですが、細かい部分でいろいろな違いがあります.
以下ESSはES9038Q2Mを指します.

ESSは30pin QFNである
QFNって手はんだがかったるいなぁ.QFPがいいんだけど.

ESSの電源は3.3V単一で動くみたいよ
AKMは最低限5V,3.3Vが必要だという記憶です.わたしのAK4495基板は、7V,5V,3.3Vを与えています.

ESSにはclock jitter改善回路が載っている
AKMのdatasheetにそういう記載はないです.すごく汚いclockだったら効果的と思います.しかしIC内にVCOを載せる事によるnoise増大というデメリットもあり得るので、無いのが良いか、在るのが良いかは一概には言えないと思います.
clock浄化する外付けICが売られているので、わたしのDAC基板にそれを載せようかとは何度も考えましたが、clockだけにそこまで凝るのは変なのでやめました.

ESSはDoPを受信できる
あらまぁこれは便利だわ.DoPというのはDSDをPCMに強引に乗せる方法です.
AKMにDoPはありませんから、DDCがDoP→DSD変換をしてやらなくちゃいけません.
なんと、ESSはSPDIFを直結することもできるらしいです.

ESSはclock出力modeがある
あらまぁこれは便利だわ.

ここまでで、ESSとAKMの設計ポリシーの違いが明らかになったと思います.

AKMは、IC内部のdigital回路を極限まで少なくしてnoiseを減らそうとしている.
ESSは、VCOが載っていたり、DoPが載っていたりと、digital回路をさほど忌避せずに便利さも追求している.

ESSの基板を設計してた人がAKMを設計したら「うわーめんどくせぇ」って思うと思うよ.Raspberry pi audioにESSは多いけどAKMが少ない理由が分かる.

ESSはDSD1024対応
AKMはDSD128なのでESEの勝ち.PCMは両者共に768kHzなので引き分け.
ただねぇ、DSD1024ともなるとHDD上の楽曲ファイルが巨大になるので、そこまで凝る人って少ないと思う.リアルタイムでPCM→DSD1024変換などができるとも思えませんし.

ESSの音声出力は、電圧出力/電流出力を選べる
こりゃまた至れり尽くせりですな.
AKMが電流出力に舵を切ったのはAK4499が初でした.
もちろん、両者とも差動出力です.

ESSの制御レジスタは巨大
AKMの制御レジスタはDACとして必要最小限と思います.
ESSはAKMよりも5倍ぐらいレジスタがあります.
両社ともI2Cで読み書きできます.

ESSはTHD補正回路搭載
なんじゃそりゃ?www
後段のTHDをキャンセルするために逆相の2次3次歪をESSが発生するとか書いてある.いや~こういうギミックってどこかでトチ狂ってしまうと思うよ.

data伝送format
AKMは、24bit modeの時は、32bitの下8bitゼロ埋めとかしてた.DDC firmwareでしこしことゼロ埋めやってます.
ESSは、ゼロ埋めせず、16/24/32bitなりの過不足ない伝送です.


datasheetをサラッと読んでみて気付いたのはこんなところです.

だいぶ制御ソフトを書き換えなくちゃいけないようです.

実際には作って動かしてみないとわからないので作ります.

かしこ

10 件のコメント:

  1. ESSのDACってリファレンス通りの回路を組むと特定の出力レベル域で相互変調歪が悪化するIMD Humpっていう問題があって、回避するには電源品質、差動合成回路が重要になるみたいです。

    https://www.audiosciencereview.com/forum/index.php?threads/ess-thd-%E2%80%98hump%E2%80%99-investigation.5752/page-21#post-191681

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    1. これは情報ありがとうございます。

      お、英語だ。家でじっくり読もうと思います。

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  2. もうホント、何のお話かさぁ〜っぱり理解できませんが、平坂さんのよう電子の方がおってくださるおかげで、PCやスマホ・・・etcで便利な生活をおくらせて頂けてるんだなぁっと実感します。ありがたやぁ^||^)

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    1. THDが2次3次で電源が電流してるんですね。

      当ブログをジャンル分けしようかとは思うのですが、これまでの惰性がありどうしようかと思いつつ。

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    2. >当ブログをジャンル分けしようかとは思う
      私は、このブログの良さは「普通は一緒にならないものが、同列に語られている」ところにあると思っているので、下手にジャンル分けする必要はないと思います。
      ・他のブログは、ある意味「ジャンルに特化しすぎ」ててつまらないので、ついここを見てしまう・・・
      ・あと、その為に「タグ(ラベル)機能」があると思っているのですが。
      ※もちろん、ここの主は平坂さんなので私が口をはさむものではありませんが、こういう読者もいるということで。

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    3. わたしも同じことを考えていますのでジャンル分けはしないと思います.

      ただ昨今あまりにも技術系ネタに偏っているのでもっとアニメとオカルトを充実させたいですけど、鬼滅は観ないし、UFOも幽霊も見ないんですよね.UFOよ来い.

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  3. ES9038Q2MのDataSheetチラ見しました。
    >後段のTHDをキャンセルするために逆相の2次3次歪をESSが発生する
    「THD Compensation」という奴ですね。でも、
    「All channels use the same compensation coefficients.」ってあるんですが、ホントに効くのかな?(チャンネル毎には、やらないんですね・・・)逆に「歪を生成」に、ならないんだろうか?
    ※海外製のDACは、他にも「負電源ジェネレータ内蔵で、カップリングコンデンサ不要!」とか、とにかく「力技」なのが多い感じがする。
    >ESSの制御レジスタは巨大
    データシートの半分以上が、レジスタの説明になってるのには笑っちゃいました。

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    1. 「THD Compensation」って、「ESS Hump」と言われてる問題の対策なのね。
      (つうか、こんな小手先対策じゃなくて、根本対策しろよって思うのだが、そういうワケにもいかないのかな・・・)

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    2. As for the 2nd and 3rd harmonic compensation, these have no impact on the hump but are quite useful in trimming out the THD at all output levels.

      とあるように、THD補償はHumpには影響しないんです。Humpの件が知られるようになったのも9038が出てからですし。

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    3. >負電源ジェネレータ内蔵

      スイッチトキャパシタで負電源とかは便利ですけど、ノイズをまき散らしそうで寒いです.
      余計な物を載せないAKMは安心です.

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