DAICON IIIの古い話題を書いたついでに、もうひとつ古い話を.ゼロ戦が飛んだ話です.
ゼロ戦っていったて「ゼロの使い魔」の話ではなくて、本物のゼロ戦が空を飛ぶのを見たんです.たしか1995年、茨城県の竜ヶ崎飛行場という田んぼの真ん中にあるような飛行場でした.まだ飛べるゼロ戦はアメリカに2機動態保存されていて、その1機が日本に里帰りして営業飛行しました.エンジンは中島製のモロ本物.ゼロ戦だけでなく、マスタングも飛びました.
前日に飛来してすでに滑走路にスタンバッていたゼロ戦+マスタング. -------スタンバッておけというのはブライトさんが発明した言葉だそうです--------
マスタングの滑走&離陸はフツーの飛行機っていう飛び方でしたが、ゼロ戦の滑走&離陸には目を疑いました.ちょっと滑走したと思ったらありえないくらいすぐに機首を上げて80度ぐらいの角度であっという間に上昇して上空でくるくるロールしてましたから.重力はどこ行ったの??? 見えないカタパルトから打ち上げたように見えました.
ちなみにゼロ戦の爆音はポルシェと同じです.空冷エンジンはああいう音になるんでしょうか?
下の写真はモロにそのときの飛行を誰かが撮影した絵です.いい絵ですね.
ゼロ戦の飛翔する姿は地球上で最も美しいと思いました.重力加速度1G、窒素80%酸素20%、1気圧の媒体中を飛ぶには、その重量とエンジンパワーと速度と運動性のバランスが最適な機体がゼロ戦である、ということです.ゼロ戦の飛翔の美しさはわたしの人生の最上級かもしれません.
飛行機っていうのは、エンジンパワーさえデカけりゃどんなに空力性能がボロくても空を飛べます.1トンの機体を飛ばすには1トンの推力があれば飛びますから.マスタングがそんな機体でした.ハイパワーエンジンで媒体をつんざくようにしか飛べない機体がマスタング.ビーッと飛行場上空をカッ飛んでいったと思ったら、旋回半径があまりにも大きいのでなかなか戻ってこれない.ロケットかよと思った.
その逆にセスナみたいな非力だけど安定志向の機体は、水面の木の葉のようなヒヨヒヨした飛び方をします.媒体に力負けするので、媒体に押し流されるような飛跡になるからです.
だけど、ゼロ戦が美しいのは、窒素80%酸素20%1気圧の媒体と同化して媒体の中を自由に移動できる機体だったから. エンジンパワーで強引に引っ張っているわけでもなく、媒体に押し流されているわけでもなく、最適バランスな飛翔でした.ゼロ戦の飛翔を見ていると媒体(大気)がゼロ戦を取り巻いている様がわかるんです.ゼロ戦の機体にこの地球上のベストバランスがあったのかという感動.美しい.....
ただ、それは写真でもビデオでもわかりません.だから、その時にビデオで撮らなかったことを全然後悔してないんです.願わくばまたゼロ戦を見る機会が訪れんことを!
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