2018年3月21日水曜日

イーロンマスクにとって自動車・宇宙は吉なのか?

新型EV モデル3の月産2万台を目標に掲げたテスラ自動車でしたが、部品不良が多くなかなか生産台数を増やせない時期が続く中、キャッシュフローが大幅マイナスでヤバイという投資系ニュースをよく目にするようになりました.イーロンマスク自身が「見通しが甘かった」と認め、テスラ自動車へのテコ入れに時間を割いているとか.

イーロンマスクさんは飽くまでもビジョナリーの立場でいるべきと思うのですが、ご本人がテスラの生産トラブルに集中せざるを得ないとは、共同経営者に優秀な人が欠けているのでしょうか? ベンチャー起業にありがちな「初期のゴタゴタ」を超えちゃってるような気がして心配です.リチウム電池を供給するpanasonicの業績にも悪影響を与えているようですし.

イーロンさんはPaypalの前身を起業して大金持ちになったそうで、なるほどIT長者だったのですね.それは今日よくある立身出世物語ですけど、その後のイーロンさんの自動車産業と宇宙産業への参入というのはひら的には何か釈然としなかった.

モデル3の生産地獄を聞き及んでわたしの感じていた疑問の正体が判りました.
それは、、、
近年のUSにおける起業成功事例は、ITまたはFintechの先行者利得パターンばかりであって、製造業やインフラ産業での起業成功事例なんか在ったっけ?

クルマを月産2万台って大変ですから、2万台の生産リソースを抱えつつそれが金を産まないとなるとキャッシュが蒸発してゆくのは無理もありません.イーロンさん自身も投資の莫大さはご承知だったでしょうが、IT出身の彼が知らなかったのは生産技術系の有形無形のノウハウだったのではなかったか? 値段が高いけど動かない生産設備を作るのは簡単だけど、値段が安くて故障しなくて再利用しやすい生産設備を立ち上げる能力は人と時間に投資しなけりゃ獲得できません.「見通しが甘かった」のはきっとそこでしょう.
なので、モデル3の工場を自前でネバダに建設するのではなく、スズキ自動車に作らせりゃ投資家をヒヤヒヤさせずに済んだと思います.iPhoneなんかUSAでは1台も生産してませんからねぇ.

仮にスズキ製モデル3の量産が順調で投資家が満足していたとしても、やはりわたしには、自動車産業と宇宙産業というのはピンと来ません.

EVと自動運転は10年も待ってればどこかしらの会社から登場するでしょう.ロケットは半官半民企業が上げるよりも低価格であるかどうかの、つまるところ運送業の価格競争市場です.仮に火星へ行ったとしても、それで新しい観光産業が生まれるとは思えませんし、15世紀の植民地獲得競争が始まるとも思えません.
iPhoneは、日本の独壇場だったコンスーマエレクトロニクス産業を乗っ取ってしまう破壊的商品でした.それに比較すると、EVと自動運転を10年先駆けて提供することと、火星へ行く一発芸とでは、破壊力が桁違いに小さく感じます.

ジョブズやゲイツは、皆がIT dreamで踊りたがった時代にたくさん出現したビジョナリーのうちの成功者でした.
イーロンさんは、既存プレイヤーが居て、踊りたい人がさほど多くないEVと宇宙でビジョナリーたらんとしている.それは彼にとって吉なのでしょうか?

外野から見てるぶんには面白いけれど、、、

かしこ

2 件のコメント:

  1. 日本人からみると普通にやればいいのにと思うことを、彼らは意地でも違う方法でやりたがりますね。
    昔GMも同じような大失敗してました。生理的に工場仕事を嫌っているのでしょうか?不思議です。

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    1. USですから資本の原理でゴリ押ししないと気がすまないのかな?
      市場シェアやpatentはM&Aで調達できますので、そういうのは資本の原理でOKOK.日本企業も見習うべき.
      だけど製造技術は資本の原理には適合しにくいですよね.
      現場叩き上げのオジサン達の技能のセカイですから.
      そのうち製造技術もAIでやるとか言い出して失敗するんだろうなぁ.
      そういう意味で工場仕事が嫌いなのだと思います.

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