2020年12月6日日曜日

アニメ「デカダンス」やっと観たのだけど、残念な出来でした

アニメ「デカダンス」を半年遅れで一気に見ました.残念な作品でした.

デカダンスについて語りつくされた評価だと思われますが、作画は良いけどstoryがしょぼい.

作画は良いけど演出がしょぼい作品は、2010年頃から目立つようになりました.

かつてはそうではありませんでした.
「鉄腕アトム」でTVアニメが創始された時から、日本のTVアニメは、演出は一流でも作画は三流という時代が何10年間も続いてきました.手作業による原画・動画に加え、手塗によるセルを毎週数千枚も調達するのはとてつもなく大変で、放映話による作画のバラつきがあるのは普通でした.

「巨人の星」や「あしたのジョー」などは作画は難しい中で演出が突出した作品だと思います.(ジョーについては杉野昭夫の画を高く評価する人も居るのは承知しています)

演出も作画も一流だった作品はとても少なく、高畑勲・宮崎駿コンビによる「母を訪ねて三千里」のような全編通してハイクオリティな作品は例外中の例外でした.逆に言うと、昭和においては、若き日の高畑・宮崎コンビの熱量と物量でしかああいう品質は達成できなかったのでした.

2000年頃になるとデジタル制作システムが導入され、最初はデジタルで彩色するところから始まり、やがてキャラの作画もモデリングに変わり、それまでの数10年間困難を極めてきた作画する、映像を作る、という作業分野が劇的に楽になりました.

制作が楽になったこととの相乗効果もあったと思われますが、2010年以降は制作されるTVアニメ本数が爆増して、若手監督の活躍の場が広がり、優れた若手監督が多く輩出されるシアワセな時代になりました.

その結果、相転移が生じました.かつての「演出は一流でも作画は三流」の時代から、「資金さえあれば画面は一流の作品が作れるようになったけれど、悲しいかな演出が追いついてないケースがよくある」時代に変わったとわたしは思っています.2010年以降は顕著です.

2001年に制作された初代フルバは、作画はそこそこ優秀で、なにより演出が良かった.大地丙太郎の独特の作風は、原作ファンには賛否あったかもだけどアニメとして十分に楽しめました.OPEDも良かったしな.演出>作画でした.

最近の作品で、作画>>演出 であぁぁこりゃダメだ、と1話切りしたのが、リメイク版の「フルーツバスケット」(2019~)でした.
リメイク版フルバは、画面はキレイなのですが、演出が何の特徴も無くベターっと原作storyを追っているだけです.
わたしはリメイク版フルバのような、作画は一流でも演出は三流という2010年以降に発生したnew typeな堕落アニメを観ると、うわー資金がもったいない、と思うんです.演出でリカバリできる要件なんだからもっとなんとかならんかったのか、もったいないと.

さて「デカダンス」です.

第一話の、立体機動装置の戦闘シーンは上下・奥行にパースの効いたスゴイ動画でした.まぁ第一話は視聴者を惹きつけるために特盛にすることはよくあるのですが、デカダンスの場合はこの作画テンションが最後までほぼkeepされましたから、作画の根性の入り方はハンパなかったです.

ところが、設定がまんまmatrixなんですよね.リアルな世界がヴァーチャルで、コミカルな世界が残存人類のリアルワールドであるという逆転もmatrixです.今この設定を引用してもウケる気はしませんが.
カブラギが繰り返し言います「オレはナツメに救われた」と.でもこのカブラギのやる気の源泉が全然響かなかったです.かつてのカブラギにはやる気があったとの展開になっているのですけれど、バーチャルワールドでサラリーマン戦闘員やってる頃のやる気が理解できません.
デカダンスの住人にもゴーストが在って、それを守り抜くというSAOみたいなstoryなのかというとそうなんだか違うのかfocusできていない.
とにかく「最後までやり抜く」んですか、あぁはいはい.....

作画は超一流でも演出は三流なデカダンスでした.あぁもったいない.

監督(立川譲)と脚本(瀬古浩司)は、過去にイイ作品を作っている人なんです.
残響のテロル(2014)、モブサイコ(2016/2019)、亜人(2016)、BANANA FISH(2018)、呪術廻戦(2020)
こういう実績のある人なのですから、デカダンスはもう少しなんとかならんかったのか?

あぁもったいない、もったいない.

かしこ

2 件のコメント:

  1. 自分的にはけっこう面白かったんですが、後半のダレ方はちょっと残念でしたね。

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    1. 鍛冶屋さんおはようございます。
      わたしは2話からダレてました。バーチャルと明かされてありゃりゃーって。
      もったいない。

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