USAの宇宙ロケットが墜落２連発

新開発の宇宙船ドラゴンがISSへの物資補給に成功した、というおめでたいニュースが、２０１４年１０月２６日でした．シャトルを廃止して以後、USAには大きめの輸送船が無くって、代わりにロシアのソューズが大活躍してましたが、ドラゴンが飛び始めてよかったよかったと思っていました．   http://www.cnn.co.jp/fringe/35055672.html

←ドラゴン

↓アンタレスロケットが上がった直後に爆発したのはそれから２日後の１０月２８日．ドラゴンが爆発したのでなくて良かったです．

↓さらに不幸は連続し、ベンチャー企業が商売を始めようとしていた、高度１００ｋｍまで弾道飛行する宇宙船が墜落したのが、１０月３１日でした．こちらは１名は助かったそうで、どうやって難を逃れたのかが不思議です．

航空機事故が連発するジンクスってのはありましたが、宇宙船の事故が連発するのは宇宙開発史上初じゃないでしょうか？ しかも新開発の機体ばっかり２連発ですから、関係者の皆さまにはお悔やみ申し上げます．

三度目の正直的に、明日１１月２日にはISSに塵が衝突してドカーンとかなりませんように．

↓塵が衝突してドカーンな映画「ゼロ・グラビティ」を借りました．サンドラ・ブロックが破片で宇宙に放り出され、ジョージ・クルーニーが助けにやってくるところまでチラ観しまして、とても面白そうです．というか好きそうです．

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爆発したアンタレスロケットは、管制が異常を察知したので管制からの指令で爆破したそうなのですが、そのロケットエンジンが４０年前のソビエト製だった、というのに興味を持ってwikiを読みまくってしまいました．

↓ソビエトも月へ人間を送るのだーっと宇宙開発競争の意欲満々だった１９７０年代に、ソビエトが作った巨大ロケットのN-1というのがあって、途中で開発が放棄されたのでN-1は飛ばなかったらしいです．N-1は第一段に３０本もの小型ロケットを取りつけた構成になっていました．その個々の小型ロケットの名はNK-33と呼ばれます．

←N-1とNK-33

↓ソビエトでは小型で信頼性の高いロケットエンジンをたくさん並列する開発方針が好まれたそうです．ソューズも同じ方針です．（ノズルは２０発見えるが燃焼室は５発らしい）

↓軌道上から碇シンジ君を降ろしたミッションに使われたこのロケットは片側だけでノズルが１８発もついてますから、ソビエトの技術を利用したのかもしれません．

小型ロケットNK-33の燃料はケロシン＋液体酸素で、サブ燃焼器で酸素リッチの燃焼をさせて燃料タービンを回すのが特徴で、小型軽量だが大出力を得られる名機だったそうです．酸素リッチのサブ燃焼というのはソビエトのこのエンジンでしか実用化されておらず、宇宙人のオーバーテクノロジーかオーパーツのような特異技術らしい．

NK-33は数奇な運命を辿ります．元々は第一段に３０発もの小型ロケットをつけたN-1ロケットに採用されただけあって、ソビエトが崩壊した後に、ロシアの倉庫に１５０機も完成品が残っていたそうです．そのうちの３６機をUSAの民間会社が１機１億円ぐらいで買って、アンタレスロケットに積んで飛ばしたら爆発しちゃったのが先日の出来事．だから、４０年前のソビエト製のロケットが爆発した、という一見不思議な事態になったんだそうです．
４０年前のロケットを運用するリスクってどうなんでしょ？ ソビエト時代の品質管理の記録や、部品検査記録が残っていたのだろうか？ そもそも４０年前の品質保証理論が現代でも通用するのだろうか？ タービン軸受けを４０年間も動態保存する技術は確立しているのか？

そのUSAの民間会社は、NK-33を製造するライセンスも取得したそうですから、ソビエト製NK-33を廃棄して、USA製NK-33を生産したら高信頼でブンブン回ってくれるかもしれません．なんつって、４０年前のオーバーテクノロジーを現代に再現出来る気はあまりしないんだよなぁ．

例えばヘリカルスキャンドラムの精密加工技術も加工装置ももう廃棄されてしまい、技術者も散り散りになってしまい、ヘリカルスキャンドラムは失われたテクノロジーになってしまいました．素材のノウハウとか、仕上げのノウハウがいろいろあって、必ずしも図面通りに作ればいいってもんじゃないセカイでしたから．ロケットにも様々なノウハウがあるんじゃないかな．

NK-33がブンブン回って宇宙へ上がるのを祈願して筆を置くことにしよう．

かしこ


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