AK4490が搭載された中華製USB DACを使っている. こちらでレポしたものだ.
AK4490のフルスケール電圧は何ボルトなのだろう?
Datasheetを読んでみて驚いた.なんと、差動出力の片側でフルスケール=2.8Vppと書かれている.すなわち差動フルスケール電圧=5.6Vppなのだ.巨大だ.
Vref設定でフルスケール電圧を変更できるのはDACの標準的仕様だ.AK4490もそうなっている.しかしVrefの推奨値があり、それに従うとフルスケール差動電圧=5.6Vppからほとんど変えられない仕様になっている.
↓AK4490が本当にそんな大電圧を出力するのかを実機で確かめた.差動片側=3Vppが出てきているのでDatasheetの通りである.巨大だ.
というわけで、差動5.6~6.0Vppが後段のLPF兼ヘッドホンアンプに入力される.
同アンプの回路はこうなっている.
うぅ、、、これはフルスケール5.6Vppを通せる回路じゃないだろう.
理由は、、、
・8200Ω/6800Ω=1.2倍のゲインを持っているから出力電圧=6.7Vppになる
・電源電圧がたったの9V
・NE5532はRail-to-Railではない
・ゆえに7V近いフルスケール出力だとサチってしまうだろう
↓フルスケール状態をsimってみたのがこれだ.アンプ出力電圧が6.7Vppになり、しかし下側が0Vに張り付いてクリップしている.歪んでダメだ.
↓実機の波形を観測した.アンプ出力電圧が約7Vppになり、下側がクリップしている.歪んでダメだ.この基板はフルスケールで使えないのだ.これも中華クオリティ.
どうしてこんな変な設計になっているんだろう?
このアンプは3つの役割を持っている.
1)LPF
2)ヘッドホンアンプ
3)ライン出力アンプ
ヘッドホンを駆動するためには、7Vppぐらいの電圧がよろしい.
しかしライン出力には7Vppも不要、巨大すぎる.
たぶんこの基板はヘッドホンアンプとしての使用を想定しているのだ.ライン出力は付録としてテキトーに考えられているのだろう.
わたしはこの基板をヘッドホンアンプとして利用するつもりは無いので、ゲインを下げてライン出力にふさわしい出力電圧に下げ、フルスケールでもサチらないようにしたい.
↓変更後の回路.フルスケール出力2Vppに下げた.
↓変更前後でLPF特性が変わらないようにケアしつつ、これは変更後の特性.
↓実機を改造してから観測したフルスケール出力波形.2.2Vppになった.
ところで2Vppにした事情は何か?
Tripath TA2020の入力仕様がおおむね2Vppでフルスケールだからだ.
↓TA2020の入力ゲインをこのようにx1倍に設定したとき、2VppをTA2020に入力すると、4Ω負荷に20Wを出力できる.
↓DENONの小型アンプの中身を全部捨てて、代わりにトランスやプリント基板を組み込んでいるところだ.
かしこ
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