2019年1月23日水曜日

【フリエネ】Bi-Toroid Transformerについて (4) 完結編

フリーエネルギの話です.
今回は回路がわからんと何もわからんと思うのでわからんかったら読み飛ばしてね.

BTTについて最後に書いたのは2017年9月だった.2017年って一昨年じゃないか.随分長い間放置していたものだ.今回は4回目の完結編だ.
 1回目
 2回目
 3回目

BTTというのはヘンテコな巻き方をしたトランスが超効率を達成してくれちゃうかもしれないという、嘘のような嘘の話である.嘘だとわかっていても、「フリエネ回路」と聞くと面白くてつい作ってみたくなってしまうのだが.

BTTはこんな巻き方になっている.
中央のコイルが1次側(電力注入)である.左右のコイルが2次側(電力取り出し)である.2次側が発生する磁束は打ち消しあう運命である.
この特殊な構成ゆえにいろいろとビンボーな羽目に陥ることとなる.
BTTをいじり倒してみた感想はこんなところだ.

感想1:1次側磁束が左右2つに分流するのは明らかである.
そのため等価回路的には1次側の漏れ磁束が鬼のように巨大で効率50%未満の非効率トランスといった挙動を示す.その非効率トランスが2ヶパラになった形がBTTの小信号モデルかと思う.

感想2:2次側が特殊な巻き線であるため、2次側逆起磁束が打ち消しあうのは明らかである.
無負荷で2次側電圧を観測しているぶんにはさほど意外なことは起こらない.
しかし、負荷を重たくしてゆくと2次側逆起磁束の打ち消し効果がだんだん巨大になってゆく.相互インダクタンスが失われてゆく.2次側shortまで負荷を最大化すると2次側が消えてしまう.

感想3:負荷が重くなるほどにトランス結合が失われてゆく、、、そうゆうビンボーな特性のトランスだと思う.

感想4:超効率? over unity? そんなのないけど.

ーーーーーーーーーー
以下は自作BTTの測定結果について.

【実験風景】
↓SWレギュに使われるトランスのE型コアをグラインダーで削って積み重ねたものをBTTのコアとする.瞬間接着剤で固定する.
↓最終的に13Turn巻いた.巻方向は同じ向き.ABCと名付ける.

↓電力効率測定は、オシレータからBに注入、Aから出て来る信号をオシロで読む.
↓電力効率測定回路はこんなかんじ.200kHz正弦波をBに注入.AとCには負荷抵抗をつける.ABCの電力を測定する.50kHz~1MHzの範囲であれば無問題そうなので200kHzにした.


【トランスパラメータ】
トランスのパラメータを確認しておく.

↓まずは実測値.10番目の26.6uHだけが突飛だがそれは後で考察する.
↓実測値1~9からトランスのパラメータを計算した.
これから判るのは、1次側(B)の漏洩インダクタンスが鬼のように巨大だということだ.原因は1次側(B)の磁束が2手に分かれる構成のためであり、こう見えてしまうのは当然といえる.
↓「感想1」で述べた通り、1次側(B)の磁束はAとCの2つに分流するのでBTT totalの等価回路をひとまずこのように考えてみる.
ただしこの等価回路には、「AとCの磁束打ち消しの件」が盛り込まれていない.等価回路をどのように変更したらよいのかが不明なのでこれ以上等価回路を考えるのはやめにしとく.

AとCの磁束打消しを考察するため実測値10の26.6uHに着目してみたい.
これはAもCもshortしてBのインダクタンスを測ったらたったの26.6uHしかないという事情を示している.なんじゃこりゃ?
BTTの特殊性がここに現れていると思う.

↓まず実測値2の条件はA,C openだからA,Cが存在しないのと同義ということで、センターコアにB巻線だけがあるこんな状態だ.Bの磁束はコアを自由に還流できるのでインダクが大きい(580uH).
↓実測値10の条件はA,C shortということでAとCの誘導磁束がガッツリ打ち消しあう.つまりA,Cに磁束が流れるの禁止=A,Cコア無しと似たもの.ゆえにBの磁束の還流する場所が無いのでBインダクはとても小さい(26.6uH).

ゆえに「感想2」で述べたように、BTTの特殊性は、トランス結合が2次側負荷の大小により変動する点だと思う.2次側の逆起電圧が1次側へkick backしないのは確かにその通りではあるが、高負荷時にトランス結合が失われてしまうのでは元も子もない.ビンボーだ.


【電力測定】
その1:負荷抵抗1kΩ
B入力:0.67Vrms、10.6mArms、cosθ=0.347        P=VAcosθ=0.246mW
A出力:300mVrms     P=V^2/R=0.09mW
total効率:    0.09 x 2 ÷ 0.246 = 73%

その2:負荷抵抗10Ω
B入力:0.336Vrms、77.8mArms、cosθ=0.61        P=VAcosθ=15.95mW
A出力:70mVrms     P=V^2/R=0.49mW
total効率:    0.49 x 2 ÷ 15.95 = 6.1%

お判りいただけるであろうか?
    小負荷時効率73%   →    大負荷時効率6.1%
負荷が重たいと効率が低下してしまう.

これじゃぁフリーエネルギーの恩恵は無いと言っても過言ではない.

エイメン

0 件のコメント:

コメントを投稿