2020年1月21日火曜日

【殺伐】毒義父について【老人】

今日も老人ホームで毒父の行状を拝見するだにこちらの機嫌が悪くなってくる.さーて、今日もnegative全開で行きましょう.

本日の話題は毒父ではなく、奥さんの父、つまり義父のハナシである.こいつも相当な毒成分を有する個体であった.酒の飲み過ぎで死んだけど.

義父が存命のある日、わたしが30歳台の頃だったろう.奥さんの実家に顔を出した.季節は春だったからGWだったか.子供はまだいなかった.

奥さんの実家は年明けからリフォームが入っていてGW前に完成したばかりだった.窓際に縁側を設けるのがリフォームの要点だったけど、随分と古風な造りにしたもんだと思っていた.
リフォーム完了でご機嫌だったからかもしれない、その日の義父の行動は謎だった.ヤケにフレンドリーなのである.近所のホームセンターへ一緒に行き、BSアンテナとビデオを買う.わたしはアンテナを屋根に設置する.同軸ケーブルを引き込んでテレビ・ビデオに接続し見れるようにする.BSが映ったと義父は喜ぶ.

後で奥さんに「今日の義父は変だった」と言ったら、「アタシもそう思ってた、何を今更家族ごっこしてるのよ」と奥さんも訝っていたそうだ.奥さんも親子関係が激悪なのである.

その晩、義母と奥さんがキッチンで食器の片付けを始めたとき、義父とわたしは居間で酒を飲んでいた.やにわに義父が言う
「わたしは君達と暮らしたい.同居してくれないか?」
それを聞いたわたしは瞬間沸騰の水素爆発.睨みつけ言い放った.
「わたしを甘く見ないでいただきたい!」
よほど剣呑な目つきで睨んだのだろう、義父は怯えた目をしていた.その晩は義父とはそれ以上何も話さなかった.

ここ迄読んだ読者は、同居を切望する義父へどうして「オレを甘く見るな」になるのか? 平坂さんが過激なのは知ってるけどそこまで言う必要無いのでは?とドン引きされたと思う.それが狙いなのだ、物語の演出上まずは読者をドン引きさせてから先に進もうという魂胆じゃよ.

「オレを甘く見るな」の理由を解説しよう!

この毒義父が実に身勝手なクソ野郎なのだ.
若い頃から飲み歩いてばかりで、家に寄り付かないわ、外にオンナ作るわ、飲み屋で喧嘩してパクられるわ、好きに生きてきたクズ男.

だが義父は酒の飲み過ぎで肝硬変になり体力が落ちて守りの姿勢に転換したのだった.すなわち、娘夫婦と同居し、孫達に囲まれ、おじいちゃんと慕われ、日当たり良好な縁側でポカポカな余生を求めたのだ.
もちろんそれまでの自分の素行の悪さなど綺麗さっぱり捨ててしまってだ.おいおいおい、何処にそんな都合の良いお伽噺が転がっているんだい? 「オレはお前の素行を知っているぞ、それを棚に上げてポカポカの老後をお前に与えるほどオレは甘くはないぞ」それが「オレを甘く見るな」の意味だったが、義父にそこまで解説しなかったので義父は何で怒られたのかまるで理解できていなかっただろう.ああいう手合いには理解させる必要はない.ただ突き放し、一人寂しく荒野を彷徨わせるのが分相応な処遇だ.

素行の悪さを棚に上げて夢見るポカポカ老後妄想のための数100万円かけた下準備が縁側リフォームでもあっただろう.暴走妄想でポカポカ縁側なんか作ってんじゃねぇよ気持ち悪い.

BSアンテナ家族ごっこも妄想である.「今日は同居成就の日」と決めた心がポカポカ妄想で酩酊状態になっていたのだろう.

いやはやすごい暴走妄想だ.繰り返すが、酒飲みで、外にオンナを作り、酔って喧嘩してパクられるような無頼な奴が、どうしてどうしてポカポカ老後プランに転換するんだよ、ちゃんちゃらおかしいわバカめ.

そもそも同居したければ、金かけてリフォームする前に娘に同居を打診するのが先じゃないのかね? だが娘すなわち奥さんには何の打診もなかった.それで唐突に「わたしは君達と暮らしたい.同居してくれないか?」である.「わたしを甘く見ないでいただきたい!」の適切さを読者にもご理解いただけたに違いない.

その夜奥さんに「同居したいって言われてさ、『甘く見るな』って返しといたわ」と言ったら奥さんの反応は、「だから家族ごっこしてたのね、キモい、馬鹿じゃないの今更」だった.

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第二幕である.

暴走妄想同居事件は「甘く見るな」で表面上はおしまいになったが、義父の死後に別のところから義父の怨念がひょっこりと顔を出したのだ.

奥さんの親戚で不幸があり、義母+奥さん+わたしで通夜に出席した.

親戚のおじさんがわたしのところに来た.結婚式で会って以来の疎遠な親戚だ.だが親戚のおじさんはわたしに用があったらしい.
「おお、ニコニコしてるだけで何もできない奴が来てるじゃねぇか?」
とわたしに暴言を吐いた.
そのとき義母が隣にいて、親戚のおじさんの暴言を聞いていたが義母はニコニコしてるしか能が無いので何も言い返しはしなかった.

わたしは「ずいぶんな言いがかりじゃねぇか? 話を聞いてやるからちょっと座れ.誰に何を吹き込まれたんだ? 言え」と睨みつけた、、、りはしなかった.通常ならそうしたけどね.
だがその通夜は通常じゃなかったのだ.亡くなったのはその暴言おじさんの奥さんで、暴言おじさんは喪主として忙しそうにしていた.胸倉掴んで揺すったりするのは控えた.気づかぬ振りを装ってスルーした.

暴言おじさんは某財閥系企業の元役員で義父のようなマトモじゃない人間ではない.理の通る真人間であるのはわかっている.その暴言おじさんが誰に何を吹き込まれたのか?
それは自ずと明らかなのだった.暴言おじさんに平坂久門は悪人であると吹き込んだ者とは、シスの暗黒卿こと毒義父であるのは間違いない.
暴言おじさんが毒義父を見舞った折、毒義父が平坂久門の悪口をあることないこと喋りまくったのだろう.それで義憤にかられた暴言おじさんが平坂久門をみかけて「ニコニコしてるだけで何もできない奴」と毒義父の仇をここぞとばかり叩きつけたと推測される.

ええと、解説しますと、平坂久門は、
「ニコニコしてるだけで何もできない奴」
ではなくて、
「怒らせると何しでかすかわからない怖い奴」
なんだけどなぁ.暴言おじさんそれ判ってる?

その暴言おじさんも死んだ.

クソどもに囲まれているわたしである.
クソどもをもっと確実に制御すべきであったという反省はある.

暴言おじさんの件を奥さんに言った.
「あいつらなんとかなんないのか?」
「ごめんね、アタシの親戚って変なのばっかりで」
「ふん、まったくだw」

fuckだなぁ.

2 件のコメント:

  1. こんにちは
    冷えるとか言ってたのに、今日も全く寒くない…どうなってるの?。

    いやぁ・・・お題通り殺伐としたお話ですね...。
    しかし、それでも義理事を欠かさない平坂さんは偉い!。
    親戚・親族付き合いをしない・集まりにも参加しないような自分は、
    たぶんボロカス言われてるんだろうなぁ^^;)。

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    1. 鍛冶屋さんこんにちは。
      東京はけっこう寒いですー。

      奥さんの親戚って、ヤケに付き合いが濃いんです。「甘く見るな」で発狂する面倒くさい奴ら。

      毒父の老人ホーム生活は3日目ですが、徘徊がひどく、反抗的で、このままでは追放される状況です。

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