2020年7月19日日曜日

受動意識仮説について

youtubeのオススメ動画に何が出るかはユーザーの嗜好が反映される.しかしたまにどうしてこの動画がオススメなのかよくわからない動画が次の動画としてランクされる.昨今強くオススメされるのが「受動意識仮説」という脳仮説を解説するどこぞの教授の講演会動画だ.

タイトルからしてあまり興味がないので長い間スルーして来たのだったがあまりにもyoutube AIが熱心なのでついに根負けして見た.言ってることはわたしもほぼ同意見なので目新しいとは感じられなかった.(2010年頃の世間には一石を投じたらしい)
骨子はこうだ.
1)意識は全能ではない、「我思うゆえに我在り」でもない
2)無意識が主体である.意識は無意識を後追い的に追認・知覚する存在である
3)エピソード記憶を強化するために発達したのが意識である
4)エピソード記憶が意識を生んだと仮定するとAI研究に応用できるかもしれない

1と2については、ヒトの主体性を信じたい人には受け入れがたい苦痛だと思うのだが、意識の根源は「熱雑音」だと気づけば当然の発想なんだよ.

それはファミコンゲームで喩えればわかりやすい.かつてドラクエには「復活の呪文」というのが在って、復活の呪文をinputすれば必ず同じ場面からゲームを再開できた.コンピューターは計算の初期値を一意に決めればその後の計算結果も同じになるからだ.
しかしいつも同じだったらシューティングゲームでは困るので、シューティングゲームでは乱数で初期値をバラかす.
乱数発生器にはいろいろあるが、円周率から乱数を発生させる仕組みなら純粋に計算で求めることができる.もう少し面倒な乱数発生器としては、抵抗器の熱雑音をAD変換して乱数と成す回路がある.究極的には放射性物質の崩壊を乱数基準にする回路もある.

ヒト意識の気まぐれさの背景には、シューティングゲームと同様に何等かの乱数が在ると考えるべきだ.ランダムなニューロン発火の起点を探ると熱雑音へ行きつくはずだ、、、とわたしは推察する.

ランダムなニューロン発火の全部が表層意識に出てしまったらその人はキチガイになってしまうので、現状どのニューロン発火を採用するのがbetterなのかを決める無意識フィルタが存在しているはずである.無意識フィルタの出力をヒトは追認的に意識と知覚している.ゆえに無意識フィルタが人の意識や個性の主体なのだと考えてよい.

ヒラサカが1と2にご賛同なさる理由は以上である.

ただし3については弱いかなと思わんでもない.
3を拡張すると、、、哺乳類では記憶を強化するため発展した意識だったが、ヒトという奇形種では意識が暴走し、やがて暴走意識から知性が生じた......となるだろう.
しかしひら的に腑に落ちないところは、記憶と意識のpotentialがどれだけ高まったとしても、石斧で狩をするようにはなれないと思うんだよなぁ.記憶・意識・知性・器用な手 の4つが同期発展しなかったらヒトには成れなかったと思うんだ.脳科学や心理学が知性を定義できてないようなので高望みだとは思うが.

#リリンはリリスから生まれた18番目ということで、、、

かしこ

4 件のコメント:

  1. 「受動意識仮説」って、何のことかと思ったら、例の、
    「ヒトが意識してカラダを動かす数秒前から、脳から筋肉に指令が出てる」
    って奴のことだったんですね・・・(この正式名称は知らなかった)

    まぁこれ、最初聞くと「えぇーっつ!?」ってなるんですが
    この世の人間(延いては、生物全般)は、「フィードバックマシン」と定義できる
    ので「制御理論」から考えれば、必ずどこかで「遅延」が必要なので、
    当然といえば、当然の帰結のような気がします。

    ※でも、それこそ「一々全部意識してたら、疲れる」ので、「そういう風に感じる」
    (遅延時間を意識させない)ように、脳のソフトがそうなってるんじゃないかと思います。

    ※余談ですが「人間がフィードバックマシンである」ことの証拠に、事故などで、
    (脳)神経を損傷した人が目の前のコップを取ろうとすると「手が振動する」などの動き
    (フィードバックエラー制御がうまくいかないときの、典型動作)になることでも分かります。
    実は「脳のニューロン」のスピードはとても遅い(数mSから数秒)なので、
    「それくらいの先読み動作」をしなければ目標に合わせられないので、まぁ、
    数字的にも妥当だと思います。

    コンピュータのAIと会話してると、「謎の間」(やはり、数mSから数秒)
    を感じる時がありますが、「人間相手」だと、それを感じないのも、
    実は、脳が同じような(事前)処理をしてるからじゃないんですかね?

    ※私は、脳を「高度な情報処理ができるコンピュータ」のようなものだと思っている
    のですが、いわゆる「意識」は、「その結果」のみを受け取るモノ、という定義
    なのかもしれません。確かに、一度に体中の個々の神経一つ一つの相手なんか
    できませんからね。意識は一度には「痛みを感じる神経」だけの相手しかできない。
    これはコンピュータも同じで、例えて言うなら、「プログラムリスト全体」が、
    無意識に相当して、「実行中の箇所」が、意識、と言えるかもしれません。

    返信削除
    返信
    1. >「ヒトが意識してカラダを動かす数秒前から、脳から筋肉に指令が出てる」

      そうなんですね.あれかぁと思ってしまいました.

      削除
    2. > 「実行中の箇所」が、意識、と言えるかもしれません

      タスク意識仮説ですねw foreground jobが....

      削除
    3. ヒト意識の等時性なんか極めて怪しいですよね.

      でも、視覚情報を知覚した瞬間が現在なのだ、って信じている人は高学歴なヒトでもザラに居ます.意識の等時性というテーゼと考えたことが一度も無い人がザラにいるといったとこかしら.

      削除