などと書くと微妙な文脈になってしまいますけど、スピンオフ作品の一つとしてアリだと思ったし、後続へ続く布石を打ったと思えるのでアリだと思ったし、制作されて良かったと思いました.
【ヤマト世界観での位置づけ】
初代ヤマトの制約の中で現代風な解を模索するコトに苦心した2199スタッフが、チョッピリ自由に創りたいという欲求を発露させた、それが本作だったと思いました.初代ヤマトの帰途の一エピソードというよりも、別個のスピンアウト作品に近いように感じました.それはそれで面白かったです.
【ヤマトビジネスでの位置づけ】
3000名弱の将兵共々海の藻屑と消え去った戦艦大和をSFで蘇らせて、ヤマトが地球を救う物語を創っちゃえ、、、西崎義展が大東亜戦争敗戦の鬱憤晴らしに描いたプロットが初代ヤマトの根幹でした.そしてヒラサカにとってヤマトの物語は大東亜戦争の焼き直し物語で完結しているんです.だから、「さらばヤマト」でヤマトクルーが次々に死ぬのを観るのは正直言ってつらい.(制作されれば必ず観るけどさ)
その事と「星巡る方舟」がどう繫がるのか?
「星巡る方舟」は、初代ヤマトと、さらばヤマトをスムースに繋ぐストーリーになっていました.つまりヤマトビジネスはまだ続きます、ガトランチスが地球に攻めてきます、という制作者の意思表明だったのではないか???
以降は、ネタバレですので、まだ観ていない人は読んではいけません.読まれる場合はスクロールしてくださいませ~.
それでは「星巡る方舟」を記憶で辿ってみます.
OPは、第1~7章の名シーンをバックに、メロディを葉加瀬太郎のバイオリンが奏でるという趣向でした.ストップモーションのOP画面がすごく格好良かった.バイオリンはあまりヤマトのイメージに合ってなかったように思いましたが.
物語の始まりはこの場面でした.わたしの予想が当たって月面基地にいた斉藤の視点でした.霧島でヤマトを見送った土方が月面基地の斉藤達を救助に来ます.
ラストシーンにも斉藤が登場するんですが、斉藤をこんだけクローズアップしておくというコトは、「さらばヤマト」を制作するから楽しみに待ってろ!というメッセージだと思わずにはおられまい.斉藤達が月面でどんな作戦行動中だったのか? それもスピンオフ作品か小説かマンガに展開する布石かもね.
ゼーリックがデスラーを暗殺した頃、大マゼラン外縁部でゼーリック麾下の艦隊がバレラスへの進攻に備えて待機していた.だがガミラス艦隊はガトランチスの「火焔直撃砲」によって殲滅される.「火焔直撃砲」は、ガトランチスが捕虜にしたガミラス人によって実現した兵器だった.
↓帰途のヤマトは大マゼラン外縁部でガトランチスの襲来を受ける.荒々しいおじさんは大帝ではなくて、いわばゲールのような立場らしい.大帝さんは登場しませんでしたが、白いお姉さんは出てきました.
↓ガトランチスの火力に手を焼くヤマト.火焔直撃砲は瞬間物質転送機と波動砲のあいのこみたいな大砲かと思いました.
↓古代が指揮するヤマトは近隣の浮遊惑星に逃げ込むが、そこにはエネルギー吸収型イカ星人がいた.惑星上でのワープにより窮地を脱するヤマト.
↓しかしそのワープにより、謎の宙域へ迷いこんでしまう.
↓謎の惑星へ強制誘導されたヤマトは、どういうわけかガミラスの救難信号を受信する.古代他数名の調査隊は調査に赴く.調査隊メンバーの桐生美影は言語学者.ガミラス、ガトランチス、ジレル、の言語を解読できるスキルを身に付けている.
↓ガミラスの救難信号を辿って発見したのは、1945年に沈没した戦艦大和そのもの.
↓大和に侵入した古代隊は大和内部に閉じ込められてしまう.大和内部はホテル施設になっており、七色星団の戦闘で生き残ったバーガーらが先客としてそこに居た.ドリルミサイルの爺さんと、バーガーの元彼女の姉もそこに閉じ込められていた.古代らはザルツ人を装い不思議な共同生活が始まる.
閉じ込められて数日後、ジレルの文字を解読した桐生美影によってそれまで登るルートの無かった大和艦橋へ登れるようになった.艦橋でガミラス人が桐生美影を殺そうとする.古代らがテロン人であるとバレて双方ともあわや殺し合いの危機に...
↓大和ホテルは各人の夢が現実化するかのような、第14話のジレルの魔女の罠のような、思考が現実化する場だった.では夢の創り手は誰だったのか? バーガーはこの女が夢の創り手だと察知した.この女の正体は、惑星すら不明になり滅んだはずのジレルの民だった.ジレルの民は死んだセレステラ姉妹だけではなかったのだ.この惑星に身を隠し、外部からの侵入者には幻を見せて同士討ちにさせる.そういう罠が大和ホテルだった.
桐生美影により、ジレルの秘密が明かされる.ガミラスも地球人も、ジレルから派生した種だったのだ.秘密が暴かれたジレルの民が現れ、閉鎖空間を開放する.
その頃、ヤマトの空間航跡をたどったガトランチスがヤマトとバーガー艦隊に迫りつつあった.ガトランチス艦隊は大帝の命を受けてジレルの惑星を探索していたのであった.
幽閉を解かれた古代らとバーガーらは船に戻り、共闘してガトランチスに反撃する.波動砲を使えぬヤマトは、ガトランチスの旗艦にロケットアンカーを打ち込み、ショックカノンの近接射撃で旗艦を撃沈する.
ここの戦闘描写は、これまでの艦隊戦ではなく、ヤマトの高機動と近接射撃という今までに無かった闘い方でした.スタッフはこういう闘い方をやりたかったのでしょう.
正体を現したジレルの民は、その巨大宇宙船を駆ってどことも知れぬ宇宙へと旅立った.
バーガーともそこで別れる.
そしてラストシーンへ、、、
地球ではヤマトが出航してから320余日が経過していた.地球防衛軍司令部の藤堂と土方のところへ、斉藤が不満をぶちまけに来る.斉藤曰く、「オレは空間騎兵隊だ、来る日も来る日も暴徒鎮圧に駆り出され、同胞に銃を向けるのはオレの仕事じゃない」、、、、土方は斉藤に答える「わたしの友人は必ず還ってくると言った、わたしはそれを信じる」.とその時、通信士が太陽系外からの通信を傍受する、「ヤマトです!」.還って来たか沖田、とニヤリとする土方の横顔を大写しにして、星巡る方舟はthe end.
なんつう素晴らしいラストじゃっ、、、、、
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ポイントをいくつか.
宇宙播種説が描かれました.イスカンダルが始祖かと思っていましたが、さらに古い種族がいたようで.真の結末とはこのことだったと思います.セレステラの出自を解き明かす説明はほとんど語られませんでしたが、ジレルの民が姿を隠した時点で、隠れた一派と隠れなかった一派がいて、セレステラは後者だったという事らしい.
桐生美影によるタネ明かしは、いろいろと大事なことを語っていたようですが、聞き損ねました.
森雪の秘密は明かされませんでした.1~7章であれだけ伏線を散布していたにもかかわらず.
藪さんは登場せず.
予告に映ったスターシャは登場せず.
ガトランチス大帝は登場せず.
斉藤がとても印象的.
ヤマトファンにとっての問題は「さらば」のリメイクがいつ発表されるかに移りました.加えて願わくば、夥しいスピンオフ作品の出現を期待したい.
もう一度見に行かなくちゃいけないと思っています.
かしこ
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