D級アンプICでいまポピュラーなのはTPA3116というTexas InstrumentsのICであろう.たくさん出回っている.わたしも同ICが載った基板を何枚か持っている.
ただねぇこのTPA3116は音質が良いという評判は無いし、datasheetを見ても、PWM変換回路に何らかのspecialな仕組みがあるなどの言及はないんだ.そういう場合は、三角波でPWM変換しているのだと想像してよいだろう.だとすると何bit精度が出ているのか心配になる.
何bit精度なのかを表す指標というと、有効bit数=ENOB=Effective Number Of bitsがあるが、TIのTPA3116 datasheetにはそういう文字は存在しない.SNRやTHD specはあるけどそれらからENOBを推測するのは難しい.
ひら的には、PWM変換回路の部分をちゃんと作った(と期待される)D級アンプがほしい.
ちゃんと作るとは、デルタシグマADCであってくれよということだ.
デルタシグマADC+D級パワーアンプ 構成のICは無いのだろうか?
残念なことに、中華通販のアンプ基板に使われているさほど多くは無い種類のICのdatasheetを調べた限りではそういう殊勝なICを見つけることはこれまで出来ていなかった.
ところが先日、これは何だろう?と思う中華アンプが目についた.
商品タイトル:STA508 + TC2001 2.1 channel DC18V-24V Class D 160W+80W+80W Digital Amplifier Board
STA508 + TC2001がIC名称なのだ.
調べると、STA508は、単なるHブリッジなのである.HブリッジとはすなわちD級パワーアンプ段だ.
ゆえにTC2001はPWM変換回路だと推察される.
もしやこれは有望かもと思ったわたしはTC2001を検索したのだが、ミリタリーグッズばかり出て来る.ネットを徘徊したらTripathという社名がひっかかった.
Tripath wikipedia →TripathはClass-TというPWM変換回路の知財を持っていて、その回路が音質の良さの根源であるらしい.
Tripath TA2020-020という伝説 →「マッキントッシュ等の数百万クラスのピュアオーディオアンプにも勝ったといわれる」などというやたらと気になる文言がある.
うぅ、希望の星 Tripath.しかし残念ながらTripathは2008年に解散してしまった.今は何処の会社がIC生産しているのかは知らない.
Class-Tとは何か? これもwikiにある.→こちら
さぁ、欲していた文言が見つかったぞ.
「高次シグマデルタ変調器と同様のループを使用する」
どうだ? やる気が出て来るじゃないか?デルタシグマADC+D級パワーアンプが見つかった(と思う).
ちなみに、秋葉のコイズミ無線でも売られているFX-AUDIOの製品にTripath TA2020を使ったラインナップがある. →Amazonだとこれ
別の中華基板だが今売られているTA2020はKOREA製と読める.本物なのだろうか?
結論は、STA508+TC2001の基板を注文した.¥3000ぐらい.中華通販だから届くのは1ヵ月後ぐらいだろう.音質レポートをご期待あれ.
問題は、わたしにアンプの差異を聞き分ける能力があるかどうかだ.自信はない.
かしこ
追記: 自作用にTA2020単品を注文した.本物なのか? 写真がUSAロット、嘘だろ?
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
返信削除本年も、宜しくどうぞ。
-----
この記事を読んで、思わず私も欲しくなって、アマゾンで
「Tripath TA2020」のアンプを、ポチってしまいました(笑)
(ちょうど、PCにつなぐ小さなアンプが欲しかった、というのもありますが)
本日それが到着したので、少しレポートを。
外観はこんな感じ。
https://i.imgur.com/nouohsA.jpg
とりあえず、手もとにあった、サンワサプライの
PC用スピーカ(5cm位のやつ)につないで聞いてみる。
・なんか、今までより音がやたら立体的に聞こえる。
音像/定位が、はっきりしている感じ。
・さすがに、このスピーカでは低音は出ないが、
今までよりは、聞きやすい音になった気がする。
(今まで聞こえなかった音が、聞こえているようにも思える)
おそらく、アンプ自体の等価出力インピーダンスが低いので、
駆動能力がかなり高いのではないかと思われます。
・一時間くらい聞いていたが、発熱は全くない。
(今は、寒い時期であることを割り引いても。というか、
筐体は、アルミフレームと思われますが、全く冷たいままです)
(ちなみに、電源は12VACアダプタが付属してました)
これだけの音が出てれば、本物とは思いますが
ネットを見てると「TA2020の偽物」が、かなり出回っているようなので、
念のため、中身も見てみました。
https://i.imgur.com/nd5oPls.jpg
(開封防止のため? パネルはT6ネジでとまってました。
上の外観写真は、ネジを外した状態の時のです)
「KOREA」の刻印がありますが、本物のようです。よかった。
※「Tripath」の社名の由来は、創立者(インド人)の
「Adya S.Tripathi」から来てるのですね。
ネットで調べると、
「マッキントッシュ等の数百万クラスのピュアオーディオアンプにも勝った」
というのは、「USAロット(最初期ロット)」のものだけ。
という話もあるようです。(マスク自体が違うらしい)
※でも「KOREAロット」のICでも、明らかに普通じゃない音がします。
-----
というわけで、今年もよろしくお願いします。
あけおめですー。
削除なんと素速い国内発送っう事で聴けてうらやまです。私の荷物はまだ大陸の何処かの通関施設にブタ積みになっているところでしょう。
昨夜、オーディオマニアの人と飲んで、彼はtripathを当然の如く知ってました。しかし彼も現在のkorea製の正体は知りませんでした。
どうかオリジナルICマスクで生産していてくれますように。
D級アンプは、高級コンポアンプに様々な名機が存在するにも関わらず、定番的回路要件が定まってない気がします。
Tripath TA2020の場合は、PWM段と出力段totalでデルタシグマDACを構成する理想的形態に結果的に成っていると予想するのですが、論文が見つかれば読んでみたいです。
上で触れた、STA508+TC2001では出力段とPWM段が別々ですから、セカンドベストかもしれませんけど、ベストではないと予想しているんです。
私の耳で聞き分ける事が出来るか??
それではことよろですー