2022年6月29日水曜日

【小説】~WHITE ALBUM 2に捧ぐ~ Integration Chapter(第1話)

えーっと、WHITE ALBUM 2の続編小説を勝手に書きます.春希たちが30歳になったぐらいの物語です.これって書き続けるとどうしてもHな場面に突入しちゃうんで、こんなの連載できると思えないんだけどな.まぁいいや、なんにも考えないことにしようっと.

なお、本作はWHITE ALBUM 2の全てをプレイした後にお読み頂けますとより一層お楽しみいただけるんじゃないでしょか.

あらすじ:
結婚して幾年月、春希と雪菜は子宝に恵まれ、平穏な日々を送っていた.かずさのピアニストとしての名声はその美貌と共に世界に広まっている.そんなある日、雪菜は「再び3人になる計画」を春希に打ち明けるのだった.その計画とは....

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~WHITE ALBUM 2に捧ぐ~ Integration Chapter
第1話 「3人になるための秘策」

土曜日、時刻は0時を回った頃、静かな行為の後で春希と雪菜は余韻に浸っていた.
「ふーっ、喉が渇いた・・・」
「起こさないようにそぉーっとね」
「うん、そぉーっとだな」
春希はベビーベッドを見やりつつ静かにキッチンへ向かう.

二人目が産まれたのをきっかけに雪菜はレコード会社を辞めた.子供を二人育てるには手狭な2DKだが、もったいないからと雪菜は引っ越しを拒んでいる.
春希の開桜社勤めは8年目だ.入社したての頃の休職のせいで出世コースからは外れたが、USから帰任した女編集長の使いぱしり役で忙しない日々は相変わらずだ.

「ねぇ、お父さん、、、春希くん」
「なんだよ、雪菜かあさん」
「なんだかやぁねぇ『せつなかあさん』って」
「お前こそ、『はるきくん』とは懐かしい呼び方じゃないか」
「春希くん、かずさ・・・」
「・・・」

雪菜は左半身を春希に重ねる.互いの汗はもう引いていたが、しっとりとした雪菜の肌の感触が伝わる.雪菜の髪に右手を通し、甘ったるい体臭を深く吸い込む.
「わたし、とても幸せだよ.春希くんがいつもいてくれて、春希くんとわたしの子供もできて、本当にありがとう・・・」
「感謝だなんて、雪菜にはすごく辛い思いをさせちゃったからさ、俺なんか何も出来てないさ」
「わたし達には・・・何かしてあげるとかはもう要らないよね」
「そう・・・だな」
「でもね、わたしはあなたとこうして居られて、あなたの子供を授かって嬉しいの」
「あぁ・・・そうだな・・・」
春希も雪菜も、相手を立ち直らせたいとの強い思いに潰されて壊れてしまった経験がある.その反省から、もっとゆっくりと落ち着いた気持ちで居ようと決めている.

「ねぇ、変なことを言うけど怒らないで聞いて欲しいんだけど」
「なんだよ、せつなかぁさん」
「んもぅ・・・わたし、かずさにもこの幸せを分けてあげたいと思うの」
「・・・かずさ・・・」
「わたしはね、かずさから春希くんを預かった.かずさもそれは分かってるわ.春希くんがかずさを一番に好きなのも知ってるし、それで全然嫌じゃないの」
「もう・・・いいよそれは.俺が愛してるのは雪菜だから」
「それもわかってるわ.でもね、わたしは3人で居るためにはどうしたらって今でも考えるのよ.こんな話、春希くんは嫌かしら?」
「そんなの、どうやってって思うけど、興味はあるから聞かせてよ」
「あなた・・・かずさと子供を作ったらどうかしら?」
雪菜はとんでもない事を言った.
春希は雪菜の上半身を元に戻し、起き上がる.
「なんだってぇ? 俺にかずさを妊娠させろって言ってるのか?」
裸で仰向けの雪菜はニコっと笑いながら、
「うん・・・」
「お前なぁ・・・奥さんが夫に浮気を勧めるってなんだよそれ、しかも相手は世界的ピアニストだぞ.意味わかんないよ!」
「ちょっと、静かにしてちょうだい・・・」
子供が目覚めてしまうと気づいて大声を出した自分を反省したが、雪菜が言い出した事にはそれだけのインパクトがあるだろう.

雪菜は続ける.
「わたしたち、もう30歳だよ.かずさだって子供が欲しくなっても不思議じゃない年齢だよ.それに・・・かずさの事だからきっと、彼氏なんかいない・・・」
独りぼっちのかずさ、それをイメージして少しだけ冷静さを取り戻した春希は、再びベッドに横になってぼんやりと天井を見つめる.
「それが、再び3人になるプランってことか・・・」
「そう、家族になっちゃえばいいんだよ、わたしたち」
「・・・お前らってさ、二人揃って俺のことを堅物だのと罵っておいて、その俺に種馬になれとかよく言えるよな.俺がそんなの受け入れると思うか?」
「本当はかずさを忘れられないくせに・・・」
「っ・・・ともかくそんなの有り得ないよ.かずさだって『同情するな』って怒るに決まってる」
「それは・・・そうだよね.でもわたし、かずさにもあなたが源になったものを授かって欲しいと思う.だって、かずさ自身がそういう想いでこの世に生を享けた人なんだもの.きっとわかってくれるわ」
かずさは父親が誰なのかを知らない.
「・・・あぁぁ、もう頭痛いよ」
「うふふ、また頭がクラクラしちゃうかしら?」
「あぁ、こんどそうなったら完全にお前のせいだからな!」
「考えてみてね」
「もうやめてくれ!」
「しーっ」
「・・・・」

第2話へ続く  (不定期連載ですっ)

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