今回はその続報&完結編になります.
結論を先に書くと、
・no signal故障が再現し、だんだん故障間隔が短くなってきた (4度目)
・ヒートガン炙りは相変わらず効く
・故障モードがたぶん判った
・完治は困難な故障モードである
・廃棄した
↓まず、3ヶ月前の記事をおさらいすると、LG TVのメイン基板のHDMI切り替えICの半田不良というのが故障モード仮説であり、ヒートガンで炙ると半田が回復するという流れでした.元ネタは海外のサイトでした.HDMI切り替えICは水色の部分です.
しかしその後もno signalが繰り返し発生したので、毎度ヒートガンで炙るにしてもどこが効くかな?と故障箇所探しを心がけたところ、HDMI切り替えICは原因じゃないぞ、という確信を持ちました.
ヒートガン炙りに反応するのは、上図の黄色部分で、このICはシステムコントロールのCPUだと思います.この辺を炙るとno signalから回復するんです.CPUなので近所に在るreset SWを押せば解決するのではと期待したけどそれでは解決しませんでした.
----
現在、4度目のno signal故障中です.おかげで先日発売された「君の名は。」を未だに大画面で観れてません.ヒートガン炙りを行いました.
ただし今回は、ヒートガン炙りの前に、CPU周辺パーツの全てを半田付しなおすという作業を行いました.しかしno signalは解消せずでした.
仕方がないのでCPU近傍をヒートガン炙りすると、no signalが復旧しました.なぜかヒートガンなら効く.原因はCPUじゃないなぁという疑念が生じました.
↓プリント基板を触ってみると、CPUの隣にあるメインLSIの放熱器もヒートガンで一蓮托生で加熱されています.上の写真のオレンジ色の部分が放熱器です.素直に考えて、原因はメインLSIの半田不良かもしれないと疑い、放熱器を外してみました.
すると、判る人には判るとんでもない状況がそこにあったのです.
メインLSI近傍のプリント基板が、約2mmも凹んでいるのです.BGA部分がですよ.
↓基板の凹を写真にうまく撮れなかったのでプリント基板断面を模式的に描くとこうなってます.
放熱器の固定方法に根本的問題があります.アルミ放熱器がしなるようになっていて、アルミ放熱器とプリント基板がメインLSIをサンドイッチする構造になっています.その結果、
1)サンドイッチ応力がプリント基板に加わる
2)発熱も加わる
3)プリント基板の厚みが1mmしかない
この3重苦で、BGAパッケージのメインLSI周辺が2mmも凹んでしまっているわけです.すると当然BGAの半田ボールのいずれかが断線しかかるのも無理はありません.これではヒートガン炙りによるヒートショックが効くのも当然というわけです.
「当店のツナサンドは柔らかい素材を用いて美味しく仕上げております」という手書きのポップが目に浮かびますが、ツナサンドならいいけどプリント基板でそれをやっては万病の元です.
回路屋視点でいいますと、BGA部2mm凹を見た時点で他の原因仮説なんかバカバカしくて考えてらんねぇぞ、投了だ、投了! という気持ちです.
----
パネルは生産できても、セット設計がこれじゃ困りますね.日本人なら、BGA部分に応力を与えるような設計は10万年経ってもしないでしょう.金属で補強するでしょう.
パネルのようなfabクローズドなプロセス技術は上手にマネジメントできても、熱設計+経時劣化のような繋ぎ込み技術は拙劣なのだなぁと、彼我能力差を感じざるを得ません.
LG TVの交換用プリント基板が海外サイトで売られています.傾向不良だろうから需要があるのでしょう.あいにく日本仕様品は売られてないようで、LG TVを廃棄することにしました.
IPSパネルということで、panasonicの旧型品をオーダーしました.末永く使えることを希望します.
かしこ
酷すぎますねー。
返信削除なぜスペーサー1枚挟むということができないのでしょうね。
動けばいいという考え方と止まらないように作るというより考え方が素人とプロの差だろうとおもうのですが、それ自体が日本人特有の思考なのでしょうか?
ダークサイドに堕ちています。生まれ変わってもらうしかないのではないでしょうか?
削除