公開から1週間経ったので、シン・エヴァの感想を書きます.ネタバレありです.
感想を一言で述べると「拍子抜けした部分がある」でした.
世間の高評価はそれでいいと思いますし、ループを断ち切って人の世を確定させる終わり方をするだろうと予想もしていたので、ああいうハートウォーミングなstoryに異論はありません.
なのにどうして拍子抜けだったのか?
1)庵野さんはハッピーエンドを作りたかったのか........
2)補完シーンが基本的に旧劇をベースとしていたのは意外でした
3)ゲンドウの補完を描くとは思わなかった
4)セリフが多くてエヴァ史上最高の判り易さ
これらに拍子抜けしたのでした.
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まずは旧劇と新劇のラストを比較しますと、、、
旧劇では、シンジが「やっぱ行き詰まった群体のほうがイイや」と決めて補完が中途崩壊しヒトの魂は地上に散りました.リリスとアダムは地球と月に温存され、リリスvsアダムの闘いの巻き添えという人類の定めも温存されました.人類の生存期間はリリスvsアダムの闘いが始まるまでの時期に限定され、リリスvsアダムの闘いが始まるとNthインパクトで絶滅.それが旧劇で描かれた世界構造でした.
新劇は何だったのか?
旧劇におけるユイのセリフ「全ての生命には復元しようとする力がある」で人類は復活し次周のループに突入します.それが新劇でした.式波アスカが人造人間だったなどの違いはあれど、リリスvsアダムに人類が巻き込まれるのは旧劇と同じ世界構造です.
しかし新劇ではそのループを断ち切ることに成功します.それが「さようなら全てのエヴァンゲリオン」です.リリスとアダムを滅ぼして、人類は行き詰まりの群体のまま知恵の実を喰らって生き続ける.世界構造がそう決定されました.ハッピーエンドと言えるでしょう.
1)庵野さんはハッピーエンドを作りたかったのか........
ループを断ち切ったからには、レイ、カヲル、シンジ、アスカ、マリ達は一切登場しない世界線へ移行する冷たい終わり方でも良かったんじゃないかな.
もっとも、あの宇部新川駅のendingはシンジの補完風景に過ぎなくてFINAL LOOPの現実世界に彼らが再生したという意味ではないのかもしれませんが.
旧劇ではヲタクを突き放したが、新劇ではヲタクを突き放さなかった点でもハッピーでした.
旧劇は「お前ら現実を見ろよ、シンジですら現実に還るんだぞ」でした.しかし現実を選んだシンジには野垂れ死にが待っていました.「気持ち悪い」でヲタクはうめきました.
新劇も現実に還る点では同じですが、観客のケツを蹴とばす強硬さは弱まり、25年間の仕事を終わらせますのでヲタクの皆さんも背負った荷を降ろして楽になってくれよなが主だったと思います.いやはや庵野さんたら優しく前向きです.
その副作用と言いましょうか、ヲタクは「賢者タイム」に入ってしまって、シンエヴァをリピート視聴する意欲はあまり湧かないように思います.あの終わり方で興行収入がどれだけ伸びるだろうか.もしかしたら100億円まで行かないかもしれません.
わたしは2度で劇場はおしまいにするつもりです.
2)補完シーンが基本的に旧劇をベースとしていたのは意外でした
旧劇「Air/まごころを君に」が一番好きなひら的には、庵野があそこに回帰したのは嬉しかったけど、3rd impactの神々しさで旧劇が一枚上手でした.補完シーンの心理描写は破れかぶれ感のある旧劇が一枚上手でした.
あと、巨大綾波の顔が新劇ではCGになってたけど、あれは旧劇の手描きの方が良かった.これは好みの問題じゃなく旧劇が優れていたと太鼓判を押せる項目だと思います.
新劇の補完シーンは判り易くて良いのですが、ひら的には、ゲンドウの補完を描くには旧劇のアレで必要十分だったと思うんです.すなわち、
セントラルドグマ → 綾波にアダムを移植 → リリスとの融合を期待 → レイに拒否られる → 「やっと会えたなユイ」 → シンジの乗る初号機に復讐のごとく喰われるゲンドウ
秀逸だ.ゲンドウの補完はこれでOKだったんだけどなぁ.
なのでひら的には、新劇のゲンドウの補完は「やり直す必要の無いやり直し」でした.新劇のクライマックスでやるほどの事ではなかったと思う.
4)セリフが多くてエヴァ史上最高の判り易さ
ヴンダーの甲板でゲンドウとミサトがお互いの意見を言うシーン.ゲンドウは人類を滅ぼす、ミサトは個体人類を保持、と言います.あれには驚きました.なんつう判り易い演出なんですかと.
ゲンドウの補完を描いたのも、判り易さゆえの必然だったと思います.
年配になるにつれ作風が独善的になるのが映画監督の常ですが、庵野は例外的に歳を重ねるほどにサービス精神旺盛になってゆきます.珍しい人だ.
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まとめると新劇とは、
・2周目の旧劇
・ループを断ち切る
・ゲンドウの補完を通じてシンジが成長する
・宇部新川の工業地帯然とした現実に飛び込んでゆくハッピーエンド
・ヲタクに背負わせた肩の荷を降ろさせたという意味でもハッピーエンド
・いろんな面で旧劇がまた偉く思えてきた
「Komm, süsser Tod〜甘き死よ、来たれ」を歌いたくなってきたな.エヴァはあそこへ還るのだ.
かしこ