謎の人・組織シリーズ第3回はソニーです.
変な会社だったなぁという話です.基礎知識はこちらをどうぞ.
時はコロナの直前2019年12月.旧所属であるテープストリーマ事業部(TS部)の解散10周年記念パーティーが開催されました.
旧知の人々と会えるのを楽しみに出席したかというとその逆で、その案内メールを見るだに「こんなだからダメなんだよお前らは」と呪いの言葉を吐きました.
「こんなだから~」を補完するとこんな感じです.
「相変わらずの仲良しクラブ状態だな.そんなだからオズオズに全滅させられた事にすら気づかないんだ.こちとら10年前の世界観なんか卒業してるぜ」
以下ではその呪いを説明します.
1)必要だったのは仲良しクラブではない、しばきあう事だ
ソニーって投資判断がアバウトなんです.
事業計画を通すには2つのやり方がありました.
1.仲良しクラブ方式 =XXさんはYYさんと仲良しなので投資しましょう
2.既に出来てる方式 =原理試作は済んでますのでできたも同然です
わたしは常に2番を狙ってました.事業部のサステイン業務をガン無視して開発ばっかりやってた.
フツーの会社では1や2なんかで投資判断しませんわな.激論してしばきあってどれが正しいのかを決める.ところがソニーはそんなことしないんです.ソニーは莫大な利益を出していたのでお手盛り投資でも平気でした、しかし業績が悪化してもお手盛り投資の文化は残りました.そんなゆるい事やってたからエレキをダメにしたんです.
オズオズが仲良しクラブ方式で妨害してきました. →滅亡へ
2)秀才クンよ、しばきあえ
ソニー社員は東大院卒とかばっかりだから、自分は秀才だと思っているし、プライドは高い、批判されたことなどない.その反作用で絶対に他者を批判しない.自分が批判されたくないから他者を批判しないというおぼっちゃま状態.この態度が随所に見られてprojectが火だるまになる.
東大院卒ですから、火だるまを消火する能力だって高いんです.ところが能力を出し切らないのがソニー社員の悪しきメンタルなんです.はっきり言ってサボってます.サボる理由は、秀才である自分にブーメランが刺さるのが嫌だからです.仲良しクラブの一員に成り下がる.
会社というものは、会社という投資家から何億円も投資してもらい、技術者や営業や工場や知財などの経営リソースも貸してもらい、利益を出してリターンする、実社会における経営のミニチュア版です.
実社会で事業が失敗したら銀行や株主からの突き上げがどれだけキツいか.それのミニチュア版RPGを会社でやってるのですから、大なり小なりリーダー役になったら「なかよし~」とか甘ったれた考えを捨ててギシギシとしばきあって成果を出すのが最低限のモラルだというのがわたしの矜持です.
↑これが一般的なソニー社員のメンタルと全く合わないんだよ
だからたとえ越権行為だとしても「XXXのせいで進捗が止まってるのでクビにしてくれ」と上の上とかに何度直訴したことか.ソニーは技術者のリソースは豊富なので、代役はどこかに居るもんです.
プアなのは技術者だけでなくprojectリーダーがプアな場面もありました.そのPLは能力不足というよりも完全主義者だからダメでした.PLは無謬だと誤解しているので、結論を出す材料が完備しないので方向性について一切触れないというトンデモ人間でした.定例Mtg.でも下っ端技術者が呆れ果てているのがひしひしと伝わってくる.「ヒラサカが経験したあらゆる組織の中で最弱であり、その原因はPLです」と上訴してやがてPLが交代しました.
ただ、PLをクビにしろと言ったのがなんで外様のヒラサカだったのでしょうか? 長年その部署にいた社員達の方が問題意識を強く感じていたのはMtg.の雰囲気でわかっています.ここも仲良しクラブだったわけです.
わたしは一般的なソニー社員のメンタルに真っ向から逆らって、下っ端から中堅まで何人もクビにして来ましたが、どうしてもクビにできなかったのがオズオズでした.
オズオズによってTS部は滅ぼされました.
3)滅亡10周年にオズオズを呼ぶとかバカじゃねぇの?
TS部解散10周年メールの宛先を見ます.するとTS部を滅ぼしたオズオズにも案内が回ってるんだよ.あいつと会ったら殴りたいわ.オズオズなんか誘うなよ.
滅亡に至るビジネス状況と社内状況を説明しよう.
AIT1をオズオズPLが開発した(1995ごろ).
その功績からオズオズは研究所で数名の研究員を抱えてテープの技術開発リーダーになった.オズオズの成果をTS事業部に移管してTS事業部はAIT2,AIT3,AIT4と新商品を出してゆくというスキームだ.ところが、ヒラサカがオズオズの成果物を査定するとポエムの絵空事のゴミでした.実際にはAIT2,AIT3はTS事業部の技術者が作ったものでした.AIT3は2000年の発売だったかな.
AIT4開発でオズオズ部隊の馬脚がついに露わになりました.ポエムなのは従来通りでしたが、MRヘッドを投入せないかんので事業部の自助努力ではリカバリ困難な技術領域に達したため詰んでしまったのです.
ヒラサカは、開発に時間はかかるけれど、AIT4でちゃんと使える特殊なMRヘッドを仙台に開発依頼しました.
そしたらオズオズは自分の名声に傷がつくのでヒラサカMRヘッドを妨害しました.この頃になってヒラサカは「オズオズをクビにしないと我々が全滅するぞ」とそこら中で言いまくりましたが誰にも聞き入れてもらえませんでした.だって上層部が仲良しクラブですから.
それでAIT4は失敗しました.2005年ごろだったか.振り返るとこの時がTS部の滅びが決定した時でした.TS部はオズオズによって滅ぼされたのです.
TS部はAIT5でリベンジしようと計画しました.この頃にはオズオズはクビになって、ヒラサカMRヘッドでAIT5は円満に商品化されましたが、AIT4で顰蹙買ったのでもう売れませんでした.
だから早くオズオズをクビにすればよかったんです.最初からヒラサカMRヘッドに注力していれば、AIT4,AIT5,AIT6まで円満に出せました.3フォーマット続けば健全財政で10年間事業部は持ったでしょう.
オズオズを殴らずにはいられません.
というわけで、TS部はオズオズに滅ぼされました.そんな奴を滅亡10周年記念に呼ぶとか、どうゆうJOKEなんだよ、ロシアの戦勝記念日にヒトラーをお招きするようなもんだぜ.バカじゃねぇのか? 結局のところ、誰のせいで滅ぼされたかのを当事者のくせに何にもわかってないんだよ.無知っつうか、無頓着ぅつうか、秀才クンのお花畑が満開でおめでたいよ.ケッ
というわけで、オズオズは殴っても気が済まないのは当然だとして、ソニーの同僚達にもいろいろな意味で「お前らだらしねぇ」と不満が募るんです.だから、TS部滅亡10周年記念パーティーなんか出るかそんなもん、と呪いの言葉を吐いたのでした.
AIT4失敗の風景と似たようなのはソニーにはそこら中にありました.仲良しクラブでバカを成敗しないから全体が死ぬんです.
人を憎んで罪を憎まず
かしこ
リモート環境がモデムだった時代、リモート接続ではらちがあかないので、会社の共有ファイル全体をテープストリーマで自宅に持ち帰って展開してました。今やったら犯罪だ。多分平坂さんの関わられた前の世代のドライブですね。お世話になりました。
返信削除>会社の共有ファイル全体
返信削除あははははー ゆるいでぇす.
酔って会社のノートPCを電車で何度も忘れる人もいましたー
滅亡10周年で集まりがあるのがすごいですね。
返信削除自分は所属していた会社(派遣先ですが)が解散後10周年をやるぞ・・・・と言っていましたが呼ばれませんでした。
実際開催されたかは不明です(笑)
自分は他人の足を引っ張るような人とは出会っていないので幸せな人なのかも知れないです。
15周年とか20周年もやるんじゃないかと思います.
削除そしてヒトラーも呼ぶんです.呆れる.
>仲良しクラブ
返信削除実は、
「日本自体、日本全体」
が、大小さまざまな「仲良しクラブ」の集合体ではないか?と思うことがあります。
・よく話題に出てくる、町内会とか。実は、大企業になればなるほど、
「仲良しクラブ」の仲間になれないと、出世できません。
(私の家族は、父親も仲間入りできなかったので「万年係長」で、終わりました。)
そういう意味では、ソニーもやっぱり「日本の会社」だったのですね・・・
(今は亡き、M下電器も、もちろんそうでした。)
なので、
「失われたxx年」(もう、何年とかじゃなくて「永遠に失われそう」ですが)
になってしまうのも、当然といえば、当然な気がします。
私はどちらかというと「一匹狼」気質だと思っているので(実は「動物占い」でも、「狼」と出るんです)あまり「仲良しクラブ」の一員に成れたことはありません。
(というか、あっても「勝手に仲間入りさせられてた」とか、そんなレベル。幽霊会員です。)
今いる会社は、あまりそういうのがないので、気楽でいいです。みんな好き勝手やってる感じで。昔いた大き目の会社とかは「xx運動」とか「xx週間」とか言って「強制的に、何かさせられること」も、多かったし、ちょっとウンザリでした。
(そりゃぁ、そんなことやってる会社は、衰退するよな・・・ まるで社会主義です。)
日本人は封建主義の農耕民族ですからね.
削除わたしのメンタルはUS人並みにアンチ同調圧力なので、日本に住んでいると同調圧力に屈しないためにそれなりにエネルギーを使わないかんという自覚はあります.
会社のXX運動とかって、凡人をレールに乗せる調教には有用なのですが、それにオレを巻き込むなと言いたいでぇす.