2019年12月7日土曜日

【回路】電撃トランジスタ講座(小信号アンプ設計)(4) ダイオード特性

前回で、ベースに1Vを加えたらIb=10mA 流れたと仮定した.だがしかしそんな仮定は真っ赤なウソなのだ.

ベースに1Vも加えたら10mAどころか10A流れてトランジスタが焼けてしまうわい.煙を出して焼き切れるならまだマシであって、パシュッと破裂してトランジスタの上半分が飛散するかもしれない.(そういう遊びをしたこともある)

実際は1Vの電源回路の電流リミッタが発動するだろうから10Aも流れないだろう.使っている電源回路の性能次第ではある.

さて、たかが1Vなのになんでそんなに大電流が流れてしまうのかを説明しよう.

前回でこの絵を使って、ベース-エミッタ間はダイオードの順方向と同じだと述べた.ベースに加える電圧と、ベースに流れる電流の相関関係はダイオード特性なのだ.

ダイオードの電圧Vと電流Iの理論式はこうなる.いろんな定数が入っているけど、注目するべきポイントはexp()すなわち指数関数というところだ.
つまり、電圧が低いうちは電流がほとんど流れない.しかし電圧をだんだん高くすると、ある電圧を越えた途端に電流がどかっと流れ出す、という挙動をexp()は表現している.

定数を代入してダイオードの電圧-電流特性を描いたのがこれ.
exp()の効果により、0.6Vを越えたあたりから急激に電流がたくさん流れるようになっている.この「0.6Vぐらい」は後々繰り返し登場するので憶えておこう.

小信号用トランジスタだとコレクタ電流の最大値は200~300mAぐらい.
コレクタ電流はベース電流を約100倍増幅した結果なのだから、ベース電流はだいたい1mAぐらいってところが見当だ.

それではベース電流を1mA流すためにベース電圧はどれだけ必要なのだろうか?
上のグラフを見れば、1Vなんかグラフが振り切っているからとんでもなく巨大だってことは判るだろう.
逆に1mAはグラフの下の方に張り付いてしまっていて解読不能でもある.

トランジスタを生で使うのはそれだけ厄介なのである.

次回はそんな厄介なトランジスタを上手く使ってやる方法について伝授する.

3 件のコメント:

  1. いつもの通りすがりの人2019年12月17日 1:36

    なんかおかしいな?と思っていたのですが、トランジスタの原理からすると、
    図の「コレクタ」と「エミッタ」が、逆ですよ。この辺
    http://www.infonet.co.jp/ueyama/ip/glossary/transistor_g.html
    を、参照下さい。
    ※実際は「逆にしても動く」ことは動きますが、hfe が一桁程度になって、実用にならないです。

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    1. あ、ほんとだ.
      コレクタが土台ですね普通は.
      トチ狂って上下逆に描いちゃった.

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    2. というわけで読者の皆様へ、
      コレクタはシリコンの土台側ですので上の絵は逆になってます.
      お詫びすると共にご注意ください.

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