これまで入力インピーについて多くを語ってきたが、出力インピーについては寡黙であった.出力インピーは「電流源」というものを説明するのが難儀なので避けてきた.スルーしちゃおうと思ってきた.
けど電流源について語りましょか?
こういうトランジスタのコレクタ回路があるとする.ベースやエミッタにどんな抵抗がついてようと無関係なので図示して無い.
このトランジスタアンプの出力インピーダンスは1kΩなのだ、と言ってしまえば確かにその通りである.そこに1kΩがついているから1kΩなんでしょ?と察すればそれでいいのだ.
だがしかし、連載12回で無視してよいくらいのベース入力インピーダンスが在ったように、コレクタ出力インピーダンスも無視してよいくらいには在る.だから厳密には上のトランジスタアンプ出力インピーは1kΩピッタシじゃないんだ.
コレクタの出力インピーダンスは10k~100kΩぐらいだと思っとけばいい.なので、コレクタ出力インピーダンスは10kΩと1kΩの合成抵抗で900Ωぐらいが実態なのだ.
でも1kに対して10kは10倍大きいのだから無視しちゃっても差し支えないので900Ωはやめて1kΩでこれまで通してきたのだ.それが真相.そしてこれからも10kを無視し続けるわたしだ.
ここで、その10k~100kΩはどこに付いているんだろう?と訊かれたら答えられるだろうか?
↓ベース入力インピーが付いている場所はわかり易い.ベースから流れ込む電流がエミッタへ流出する際の抵抗なのだから、ベースとエミッタの中間付近についているとイメージすればいい.
↓ベースの事情がそうならば、コレクタ出力インピーはコレクタとベースの中間付近についているとイメージするのが適切なのだろうか? それは違うんだ.そもそも、コレクタベース間には電流が流れないのでそこに抵抗もクソもないわ!
↓正解はこれ.コレクタとエミッタを直結するという無茶な付き方になる.理解し難いねぇ.
理解できないままで放置して話題を変える.後で触れる.
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ところで、出力インピーダンス10kΩのアンプってすごく無能な気がしない? 使えない事この上なしみたいな。アンプ出力ってのはインピーダンス10Ωぐらいであってこそ、次段アンプを駆動できるってもんだろう.10kΩじゃなんの役にも立たんわ.
それはある意味そうなんだけど、それは電圧出力アンプに限った話なのだ.
世の中には「電流出力アンプ」というマイナーな存在が在る.別名「電流源」.
実はトランジスタのコレクタは電流源なのだ.電流源はインピーダンスが高いほど珍重され高価値である.だからコレクタ出力インピーが10kΩでも誰も文句を言う筋合いじゃないんだ.
以下で電流源についてイメージしてもらいたい.
↓もはや耳タコだろうが、電圧源とは、負荷がどんなに巨大だろうが変動しようが負けずに電圧をkeepする回路である.例えば12V4AのACアダプタは最大電流4Aまでは12Vをkeepしてくれる能力を持つ.電圧源の内部抵抗はゼロが望ましい.
↓対する電流源はこんなイメージである.一定の電流を流すのが電流源の役割だ.負荷抵抗が何Ωであっても同じ電流を流すということは、電流源の出力電圧は負荷に追従してヒヨヒヨと変化する.
そして電流源の内部抵抗は無限大が望ましい.これが理解しづらいところだろう.上手い説明を思いつかないんだよなぁ......でも努力してみる.
↓1Ωの抵抗に電圧を1V,2V,3Vと与えると、1A,2A,3Aの電流が流れる.逆に考えて、電流と電圧から抵抗を求めるには、抵抗=グラフの傾き である.つまりR=dV/dI=1/1=1Ωと計算される.
↓電圧電流グラフはこうなる.2Aの電流源相手にどんな電圧を加えたって2Aは変わらないから横一線のグラフになる.dIは常にゼロだ.従ってR=dV/dI=dV/0=∞と計算され、電流源の内部抵抗は無限大になる.理論的にはだが.
と説明してもわかりづらいわな.....
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トランジスタに話題を戻す.
この回路は、エミッタ電圧とエミッタ抵抗で決まる10mAがすなわちコレクタ電流である.
また、コレクタ電圧Vcを5V,10V,20V,30Vと変えたとしても、コレクタ電圧は10mAのままでほとんど変化しない.この挙動は電流源そのものである.トランジスタのコレクタは、電流源なのである.コレクタが電流源であるならば、コレクタ出力抵抗も非常に高いはずである.現実のコレクタ出力インピーダンスが10k~100kΩぐらいなのはこういう事情によるのだ.10kΩは電流源にパラレルに付いている.つまりコレクタエミッタ間に付く.
今回はこれで終わりだが、全然説明できた気がしないよ.
#次回こそはエミッタフォロアを.....
かしこ
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