今回は打ち砕かれた夢を回復するテクを伝授しようと思ったのだけれど、それはやめといて次回にする.
今回は、アンプの入出力インピーダンスを解説する.
前回解説した、アンプ直結で増幅度が劣化する原因は、こういうことだった.
「2段目のベースバイアス抵抗値が数kΩしかないので、1段目のコレクタ抵抗1kΩとの合成抵抗が小さくなってしまうから」
これをもうちっと汎用的に表現するとこうなる.
「1段目出力インピーダンスは1kΩと高い。2段目入力インピーダンスは数kΩと低い。これじゃぁロスってしまって当然だ」
つまり、アンプとアンプを直結する時には次の要件を満たさなくちゃいけない.
「1段目出力インピーダンスは数Ω程度、2段目入力インピーダンスは10kΩであって欲しい」
300MHz以下の周波数帯域であればこの様な低インピー出し、高インピー受けでOK.300MHz超帯域ではたとえ6dBロスを甘受してでも50Ω出し50Ω受けのインピーダンスマッチングにする。
アンプの入出力インピーダンスについて具体例を考えてみよう.
【オーディオパワーアンプ】
例えばオーディオパワーアンプの入出力インピーはどんなもんかというと、入力は10kΩぐらいでまぁ高インピーと言ってよい.出力は0.1Ωぐらいとベタベタな低インピーに作られている(ことが多い).
オーディオ業界で「ダンピングファクターが悪くて締まりのない音だ」などと形容することがあるが、あれは何を意味しているのかというと、パワーアンプの出力インピーが例えば20Ωなどと高めだったりすると、4~8Ωのスピーカーをきちっと定電圧駆動できなくなる.パワーアンプはスピーカーからkick backされる逆起電圧に負ることなく「パワーアンプ様の指令通りに動けスピーカー」と云える能力を持つのが好ましいとされる.そのためには出力インピーがとても低いのが有利なのだ.出力インピーがめちゃ低い事は定電圧駆動の代名詞である。
【真空管パワーアンプ】
真空管アンプの出力インピーは数Ωぐらいとやや高めらしい.真空管は高電圧小電流なデバイスである.高電圧小電流とはすなわち高インピーダンスという意味だ.真空管アンプは出力トランスを採用することが多い.出力トランスによってスピーカー駆動に適する低インピーに変換するためだ.ただしトランジスタアンプのような超低インピーまではイケない.
当然、ダンピングファクターがやや弱めな真空管アンプだがそれでもオーディオ的ないい音だと評されるのだから奥が深いっうか闇が深い。
真空管アンプの出力インピーダンスが数Ωなのはマッチングのためわざとそうしているのだろうか?
真空管に対する造詣が薄まったいヒラサカ予想だが、ワザとではなく仕方なくそうなっているのだろう。トランス巻線比で10kΩ→0.1Ωにインピー変換するには316:1なんつう巻線比にせにゃいかんくなってしまう。頑張ってプレート電圧を1000Vにしてもトランス出力で3Vまで下がっちゃったらスピーカ駆動出来ませんぜ、虚しい。
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ここまでのハナシの流れでもって勇者諸君に意識して欲しいのは、アンプの入出力インピーダンスはナンボなのよという着眼なのだ.
当連載で何度も出て来たこのトランジスタアンプの入力インピーは約1.56kΩ、出力インピーダンスは1kΩである.
この様な中途半端な入出力インピーダンスのアンプは使いにくい。
1.56kΩの理由はベースバイアス抵抗だった。
ところが、まだカミングアウトしてなかったのだが、入力インピーダンスにはもう1つ在るんだ。それはトランジスタのベースそのものの入力インピーダンスだ。
次回へ続く。
真空管アンプで30cmバスレフを鳴らすためにはテレビ水平出力管どころかブロアー強制空冷の無線出力管が要ります。それに耐えるトランスがあればですが。
返信削除だから出力10Wとかで6.5インチスピーカーをバックロードとか必死に使って雰囲気を楽しむ(だけ笑)んです。昔のMG-Bみたいなもの。
それでもソースさえ選べば良い音ですよ。なるべく正弦波に近いクラシックとかボーカルとか。スピードは駄目ですけど。
あぁぁ、効率の良いスピーカーよ、ペアで我が手に。出力トランスよ、ペアで我が手に。
削除願い続けたら叶わないかなぁ。
トランスが手に入ったらファイナル真空管で作ってみる気になるかもです。
いいですねぇ、現場目線での限界論。ホント大好きです。それを伝授するのが真剣にわたしの目的です。
削除文章技術の限界っうか、プロットの限界っうか、いろいろですけど。