2回目を観ました.
まず好きなところについてです.
1)キャラデザは好きです.
2)キスシーンは2度目でもマジで強烈にエロい.全てのアニメのキスシーンで最もエロい.アニメで唾液が糸を引くという定番表現があるんだけど、あんなのお子様レベルです.
3)作家が内面を叩きつけた作品は好きです.
好きな点はたったこれだけです.
以下は、ダメでしょう、という点について.
以前にも書いたけど、大人になって結婚して子供が生まれた未来を垣間見てしまって、「未来の俺達を救いたい」というのは脚本理論的に失敗だと思います.若さゆえのがむしゃらな行動力が本作をドライブするエネルギー源のはずなのに、そこに打算要素を入れちゃダメですよ.これは失敗だとしか思えない.
なにしろセカイ系ですから世界の構造について考えます.
「まぼろし世界」は現実から分岐した世界だが、実在はしていない.最終的に実在を手に入れてれっきとした平行世界に昇格してハッピーエンド、というのが骨子.
「まぼろし世界」を作ったのは誰なのか?
明確に描かれていないので確証はないのですが、五美の超常能力からすると、3歳児の五美がヘソを曲げてあの世界を作って、かつあの世界に転移したのではないかと思います.(軽くハルヒですな)
あの世界に君臨しているのは五美です.
・「息子がうらやましい」と意思表明した主人公の父親は神機狼に消されました.五美の判断です.
・主人公に「好き」と意思表明した女子は神機狼に消されました.五美の嫉妬です.
・「変わらないセカイなんか嫌だ」と言ってしまった男子は神機狼に消されました.五美の判断です.
・付き合い始めた友人カップルには罰は無し.五美の判断です.
・「オレは変わりたい」と言ってしまった主人公はお咎めなし.五美の判断です.
・主人公がキスしてるのを五美が目撃したらセカイが壊れた.五美の嫉妬です.
このように神機狼による罰が下されますが、その罰を判定しているのは五美の快/不快です.永遠に生きられる世界で、死という重い罰を下せるのが五美.ずいぶん酷い話じゃないですか.その五美がラストで救われて喜ぶ気になりますか? フツーならんでしょう.
ラストでまぼろし世界→実在へ昇格できたメカニズムはさっぱり不明です.五美を追放したからセカイが実在化したという解釈が妥当そうに思えますが、だとしたらあの物語って何なの? あまりにも五美が迷惑すぎて救いも何もあったもんじゃないです.
五美は、ハルヒ+無邪鬼+ラムだと思いました。
セカイ系については以上でおしまいです.
ラストのアクション混じりのクライマックスは、わたしには「ただの空回り」にしか見えないのだけれど、低レベルな観客はあのくらいで結構騙されるんだろうな.わたしはそういう観客が嫌いです.
男子児童の成長過程で、父親と母親の深い仲に気付き、男児は父親を精神的に殺すという発達心理学の知見があります.本作は、それの男女をひっくり返した「母親殺し」ですね.その構造に何か目新しさがあるかというと、そんなにスゴイとは言えませんね.
好きは「痛い」、好きは「居たい」の掛詞をさらっと流しちゃダメじゃないかな? 本作の結構重要なポイントだったと思うんだけどな.
現状維持派の父親のあの性格は必然性が無いです.あれは失敗でしょう.
叔父さんが、未亡人である母親を好きだという案件に納得できません.BBAでしょ.
画像について.
背景画は美しいと言えます.
画面レイアウトは全然フツーレベル.画面レイアウトが雄弁に語るようなのは無いです.
作画もそんなにスゴイとは言えません.端正に作画してますというところ.
レイヤー数がやたらと多い画作りはMAPPAのお得意です.そこは評価します.
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好きなところが3つで、嫌いなところが10個ぐらいありますが、音楽アルバムを買って10曲中に1曲だけ好きな曲があればそのアルバムを大切に扱うのと同じようなもので、やたらとエロいキスシーンが好きなので個人の判断としては合格とします.
でも作品としては失敗作です.興行的にも失敗です.
かしこ
エロいキスシーンのできがよいのですね。 ストーリーに難ありと、解釈しました。 興行的失敗。ここがすごい!アニメ映画興行論で最高!アニメ映画興行論経済分析の薄い本でないかなー?
返信削除おはよーございます.
削除最終興収4.5億円と予想されているそうです.あまりにも寒いです.
ちなみに、アリスちゃんもテレスくんも出てきません.