2021年3月15日月曜日

シン・エヴァについての賢者タイム的感想

公開から1週間経ったので、シン・エヴァの感想を書きます.ネタバレありです.

感想を一言で述べると「拍子抜けした部分がある」でした.

世間の高評価はそれでいいと思いますし、ループを断ち切って人の世を確定させる終わり方をするだろうと予想もしていたので、ああいうハートウォーミングなstoryに異論はありません.

なのにどうして拍子抜けだったのか?
1)庵野さんはハッピーエンドを作りたかったのか........
2)補完シーンが基本的に旧劇をベースとしていたのは意外でした
3)ゲンドウの補完を描くとは思わなかった
4)セリフが多くてエヴァ史上最高の判り易さ
これらに拍子抜けしたのでした.

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まずは旧劇と新劇のラストを比較しますと、、、

旧劇では、シンジが「やっぱ行き詰まった群体のほうがイイや」と決めて補完が中途崩壊しヒトの魂は地上に散りました.リリスとアダムは地球と月に温存され、リリスvsアダムの闘いの巻き添えという人類の定めも温存されました.人類の生存期間はリリスvsアダムの闘いが始まるまでの時期に限定され、リリスvsアダムの闘いが始まるとNthインパクトで絶滅.それが旧劇で描かれた世界構造でした.

新劇は何だったのか?
旧劇におけるユイのセリフ「全ての生命には復元しようとする力がある」で人類は復活し次周のループに突入します.それが新劇でした.式波アスカが人造人間だったなどの違いはあれど、リリスvsアダムに人類が巻き込まれるのは旧劇と同じ世界構造です.
しかし新劇ではそのループを断ち切ることに成功します.それが「さようなら全てのエヴァンゲリオン」です.リリスとアダムを滅ぼして、人類は行き詰まりの群体のまま知恵の実を喰らって生き続ける.世界構造がそう決定されました.ハッピーエンドと言えるでしょう.

1)庵野さんはハッピーエンドを作りたかったのか........
ループを断ち切ったからには、レイ、カヲル、シンジ、アスカ、マリ達は一切登場しない世界線へ移行する冷たい終わり方でも良かったんじゃないかな.
もっとも、あの宇部新川駅のendingはシンジの補完風景に過ぎなくてFINAL LOOPの現実世界に彼らが再生したという意味ではないのかもしれませんが.

旧劇ではヲタクを突き放したが、新劇ではヲタクを突き放さなかった点でもハッピーでした.
旧劇は「お前ら現実を見ろよ、シンジですら現実に還るんだぞ」でした.しかし現実を選んだシンジには野垂れ死にが待っていました.「気持ち悪い」でヲタクはうめきました.
新劇も現実に還る点では同じですが、観客のケツを蹴とばす強硬さは弱まり、25年間の仕事を終わらせますのでヲタクの皆さんも背負った荷を降ろして楽になってくれよなが主だったと思います.いやはや庵野さんたら優しく前向きです.

その副作用と言いましょうか、ヲタクは「賢者タイム」に入ってしまって、シンエヴァをリピート視聴する意欲はあまり湧かないように思います.あの終わり方で興行収入がどれだけ伸びるだろうか.もしかしたら100億円まで行かないかもしれません. 

わたしは2度で劇場はおしまいにするつもりです.

2)補完シーンが基本的に旧劇をベースとしていたのは意外でした
旧劇「Air/まごころを君に」が一番好きなひら的には、庵野があそこに回帰したのは嬉しかったけど、3rd impactの神々しさで旧劇が一枚上手でした.補完シーンの心理描写は破れかぶれ感のある旧劇が一枚上手でした.
あと、巨大綾波の顔が新劇ではCGになってたけど、あれは旧劇の手描きの方が良かった.これは好みの問題じゃなく旧劇が優れていたと太鼓判を押せる項目だと思います.

3)ゲンドウの補完を描くとは思わなかった
新劇の補完シーンは判り易くて良いのですが、ひら的には、ゲンドウの補完を描くには旧劇のアレで必要十分だったと思うんです.すなわち、
セントラルドグマ → 綾波にアダムを移植 → リリスとの融合を期待 → レイに拒否られる → 「やっと会えたなユイ」 → シンジの乗る初号機に復讐のごとく喰われるゲンドウ
秀逸だ.ゲンドウの補完はこれでOKだったんだけどなぁ.
なのでひら的には、新劇のゲンドウの補完は「やり直す必要の無いやり直し」でした.新劇のクライマックスでやるほどの事ではなかったと思う.

4)セリフが多くてエヴァ史上最高の判り易さ
ヴンダーの甲板でゲンドウとミサトがお互いの意見を言うシーン.ゲンドウは人類を滅ぼす、ミサトは個体人類を保持、と言います.あれには驚きました.なんつう判り易い演出なんですかと.

ゲンドウの補完を描いたのも、判り易さゆえの必然だったと思います.

年配になるにつれ作風が独善的になるのが映画監督の常ですが、庵野は例外的に歳を重ねるほどにサービス精神旺盛になってゆきます.珍しい人だ.

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まとめると新劇とは、
・2周目の旧劇
・ループを断ち切る
・ゲンドウの補完を通じてシンジが成長する
・宇部新川の工業地帯然とした現実に飛び込んでゆくハッピーエンド
・ヲタクに背負わせた肩の荷を降ろさせたという意味でもハッピーエンド
・いろんな面で旧劇がまた偉く思えてきた

「Komm, süsser Tod〜甘き死よ、来たれ」を歌いたくなってきたな.エヴァはあそこへ還るのだ.

かしこ

8 件のコメント:

  1. 確かに知的な部分での刺激とか映画的な挑戦という意味では、高いレベルでコンテンツを受け止められる人達にとっては物足りないかもでした。
    気力・体力の衰えた自分のような人間には前のエヴァンゲリオンのような剛速球を投げられると心が持たない感じでしたので、今回の作品は大変ありがたかったです~。
    上映中こちらが受け取れるボールを下手投げでそっと投げてくれる監督さんを感じておりました。
    全然関係ないですが、遊技機業界の接待を受けて溶かされなかった人を自分は二人聞き知っていて、ホリエモンと庵野さんだったりします。もちろん他にもいるとは思いますが。

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    1. そうですか、刺激に耐えられない心身になってしまいましたか。

      わたしは激辛メニューをガツガツ食べて疲労するのループの中にまだ居ます。

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    2. ホリエモンはオトコも好きですしね。

      庵野はヲタ女子に手出しまくってたそうです若い頃。

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    3. コンテンツモリモリ摂取できるのはうらやましい限りです~。
      確かにエヴァンゲリオンは同じ人間を何度も劇場に来させるという手法で興業収入をUPさせていたように思いますね。今回は上映時間の長さもあって、複数回見るのはちょっと辛いです。

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    4. TVアニメを漏らさずチェックするのも手前暇かかります。

      自分にとって深刻なのは、エロマンガの新作followを打ち切った事です。秋葉のエロマンガ屋が滅びてしまったためです。オリンピックしね

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  2. ※あらかじめ申し上げておきますが、何故か私自身は全く「エヴァンゲリオン」を、見たことがありません。私の周りにも、何故か?見たことある人がいませんでした。
    (まさに「エバンジェリスト」が、現れなかった、と云うべきか・・・)
    なので中身については、このサイトからの情報しか知りません。
    (一応登場人物くらいは、Wikipediaとかを見て知ってますが)

    やはり、これも、ある時期から「世界の流れ(タイムライン?とでも言うのか)」が、
    変わった所為なのでしょうか。
    私のところに来ている、陰謀論やら異世界情報やら普通の世界情勢やらを総合すると、
    ある時期までは、
    ・「1999年7の月」(ノストラダムスの予言)に代表されるように、「世界は、破滅する」という論調が主流だった。
    のですが、2000年代に入り、上記予言が外れたことを契機にしてなのか、
    ・その代わりに、「人類は、アセンションする」という論調が生まれてくる。
    ようになりました。
    いずれにしても「破滅的終末」は、回避された、という論調です。
    ※前に書いた「第三次世界大戦が回避された」というのも、これに近い説ではある。

    今回の、「エンディングの大幅変更」も、こういう流れの一環のように思えるのは、私だけでしょうか?
    21世紀に入って、「破滅から再生へ」流れが変わってきている感はあります。
    (宇宙戦艦ヤマトとかも「こんなに変えちゃっていいのか?」というくらい、中身が変わってきてる感じがするのですが。)

    ※個人的には「1999年7の月」で、幼少期をずっと過ごしてきたので「破滅を回避」と言われても「あまりうれしい気がしません」
    やはり、人類は一回リセットされたほうがいいんじゃないかと、未だに思っている。
    はっきり言って今は「生かさず殺さず」で、あんまり生きてる感じがしないんですよね・・・

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    1. そういえば、旧劇はノストラダムス預言の前でした。終末論が盛り上がってた時期でした。

      破滅的endingはアニメのみならず映画もドラマも昔は得意でしたが、今は減りましたねそういうのって。

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    2. 核兵器とノストラダムスが遠ざかって、温暖化がやって来たけどあれは温暖化利権の関連で真剣になるには役不足な感じがします。

      あとは隕石とアセンションぐらいか。やっぱ真実味薄いっす。

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