友崎くん、人生はゲームじゃないよ

「弱キャラ友崎くん」で日南がよく語る「人生はゲームである」「なんでも１番」というのが鼻につきます．おかしなことを語る原作だなぁ．まぁ女子がカワイイのでアニメとしては無問題なんですけどね．

第８話は七海が常勝日南へのライバル心で軽く心の変調をきたします．（七海の作画は作画監督さんが頑張ってくれて良かったです）

「２番じゃ嫌」「なんでも１番」は不健全な精神だと思う．

新製品のSPECが１番でなくちゃ売れないから１番を狙う、というような営利目的上の１番狙いは正当でよいのです．タレントやアイドルが自分は商品であると規定してセンターを狙うのも正当でよいでしょう．しかし、一般個人のメンタルとして「なんでも１番」は不健全だと思います．

どうして不健全なのかというと、自己を規定するために他人という鏡を必要とする精神が不健全なのです．１番狙いというのは、１番が偉業であるとの一般認識がまずある→１番を獲る→人々が知る→賞賛を浴びる→自己満足を得る、というプロセスでしょう．それは他人という鏡に映る自分がどうであるかでしか自己規定できない状態です．それはいつか身を滅ぼします．

自分を褒めてあげられるのは、自分だけじゃないですか？ 別の言い方をするなら、満足には、自己満足はあるけれど、他己満足なんてのはハナから言葉そのものが存在しません．満足したければ自己完結で満足を得るべきです．

もっとも一般個人でも、恋愛と結婚と就職は他人から良い評価を受けなければ先へ進めないので相手に映る自己を気にせざるを得ないわけです．でも日南や七海は学業や部活で他人の目を自己評価基準にしています．それは止めた方が無難です．（七海は８話でそれに気づいたようでよかった）

次に「人生はゲームである」への反論です．

ゲームがゲームであるには条件があります．

 １）勝利条件の明確な定義

 ２）必ず結果が出る

この２つが無かったらゲーム足り得ません．

しかし人生はどうでしょう？

 １）人生の勝利条件なんか定義できますか？   → できるわけがない

 ２）人生で下した決断の結果が必ず出ますか？    → 結果が出るとは限らない

ゆえに人生はゲーム足り得ません．

反論として「受験には合否結果が出る」と日南などは言いそうですが、たかが受験を人生と等価視している点が誤りです．人生は多くの短いゲームのサバイバル戦じゃありません．目先の選択を正しく行い続ければ必ず人生全体が正しい結果に辿り着くというのは幻想です．そんな保証はどこにもありません．

そもそも、早稲田に進学したけど、慶応の方が良かったかな、などという命題に答えなんか出せません．今の決断が、先々まで正しいのか、裏目だったのか、人生においてそういう結果は通常は出ません．

親の反対を押し切って小室圭と結婚しようとしている眞子さまはたぶん裏目を引くでしょう．判で押したような失敗人生です．

しかし通常は、自分が選んだ配偶者で良かったのかどうかに結果なんか出ません．夫がアル中やDVでもない限り結果なんか出ません．

だから、人生はゲームではありません．

かしこ