2024年8月5日月曜日

ガールズバンドクライ研究 ASCIIにて平山理志Pインタビュー

ガルクラPの平山理志さんのインタビュー前後編がちょっと珍しいASCIIという媒体から出ています.

いろんなスタッフインタビューがあった中で、ひら的にはこの記事が一番読みごたえがあったので紹介しておきます.


【後編】東映アニメーション 平山理志プロデューサーインタビュー

ーーーー
フルコマでやったら、ぬるぬる動きになっちゃった

費用はリミテッドアニメの3倍かかるし、大変だったそうです.

これでイケると現場が判断したのは2本目のMVだそうです.
youtubeの公式を見ると2本目とは、
 3DCG MV1本目 「名もなき何もかも」 2023.8up
 3DCG MV2本目 「爆ぜて咲く」     2023.9up
たぶん↓これです.アニメに無い画がたくさん登場するので、ガルクラ好きな人は必修科目です.ぜひ見ておきましょう.

実際にガルクラを観ていて、CGの生産手法をどんどん変えてました.
ライブシーンは1,3,5,7,11,13の各話で実験的に変えていました.
日常シーンでは、1~3話は試行錯誤していて、4話以降はほぼ安定してたかなと.
↓これは#3のアバンですけど、トレス線が太くて黒くて、このカットにはすごい違和感を感じてしまいます.

ーーーー
「2D作画」技術が天井に近いところまで到達している

平山氏は、「だからイラストルック+フルコマなのだ」と言ってます.

ひら的には、作画だとかレイアウトは2010年ごろには各アニメスタジオの制作体制に組み込まれてほぼ完備したと思っています.要するに、美麗な画を作るノウハウは当たり前のテクになってしまっていて、金さえあれば誰でもできる.美麗な画は競争力にならないということ.

ならば現代の優れたアニメテクはなんなのかというと、、、たぶん読者には伝わらないだろうけど「時間制御演出」だとヒラサカは思っています.時間制御演出とはリミテッドアニメの昭和時代に開拓された古い演出技法ですが、属人的なのでノウハウが蓄積されにくく、美麗な画の追求につれて忘れ去られた感がありました.ところが最近、高度な時間制御演出をサクサクやる人が現れまして、それが御所園翔太です.チェンソー#8、呪術2期監督で有名になりました.

このように「もはや画像には期待しても無駄」「美麗さで作品を評価するのは愚か」というのがヒラサカの基本スタンスになっていました.「フリーレン」なんかどーでもいいと最初から切り捨てていたのもそのせいです.大手のパワーゲームなんか勝手にやっててくださいよバカバカしい.

そこへ飛び出してきたのがガルクラでした.
平山Pが言う通り、ガルクラの画像は革新的でした.単なる3D物量投下作戦じゃないです.
当ブログに以前投稿しましたが、ガルクラ全話を通して一番すごいと思ったのは#8のこのカットです.微妙な3つの視線移動から成ります.目パチと顔の振りが微小すぎて手描きだとやる気にならないんじゃないかしら.従来の3Dは手描きの補完物だったけれど、3Dじゃなくちゃ出来ない物を初めて証明したのがガルクラだったと思います.

ーーーー
第7話「名前をつけてやる」が潮目だった

twitterのトレンドが爆発したのが第7話以降だった、と広報担当の人が言ってます.

ひら的にこれは、ルパさん効果だと思うんですよね.
#1~5は田舎者のイジケ虫の物語でした (そんなに面白くない)
#6でルパさんが出てきて「マーケとプロデュースとM&A論」の物語にガラッと変わった
#7、俄然面白くなってきたと思ってたら、桃香が抜けるだとぉ?
#8はZEPP HANEDAの神回 (ひら的にはお祭り状態でしたよ)

面白くなったのは#6以降でした.

ーーーー
業界のリーディングカンパニーとして「こっちに行けばみんなで生き残れるのでは」という目標を指し示すことは大事な役割

東映動画にしてはよく頑張りました.ガルクラで東映はこうしました.
 ・技術は用意した
 ・金は出す
 ・外様に自由に作らせる
東映動画の過去作品からは1mmも想像できませんがね.(皮肉)

ーーーー
「中指立ててください」と言っている段階で、このシナリオすごい

どんだけ逆張り企画なんでしょうか?

ヒラサカは、第1~2話を見て「こりゃ失敗する」と思いました.理由は人間関係がヤンキーの殴り合いで仲直りだからです.ヤンキー物語が現代でウケるわきゃねぇだろと.ヒラ個人は面白かったけど、世間一般からは拒否られると確信しました.

スタッフにも、仁菜の性格が受け入れられず失敗するんじゃないかという逡巡が在ったそうです.

そしたら、驚いたことに、やたらウケてました. ♪なんでだろう、なんでだろう♪

ーーーー
人気が出れば次が作れる、お客様の応援や今後の展開次第で見えてくる

「停滞」の代名詞みたいな東映動画の代表作になっちまった~

そりゃぁやるでしょ、2期

商売、商売、、、


かしこ

9 件のコメント:

  1. ※一時期、「もう、アニメは(みんな似たようなのばかりで、見てても時間の無駄でつまらないから)卒業」しよう、と思ってた(笑)のですが、最近、
    ・リコリコ
    とか
    ・ガルクラ
    とか出て来たので、また見てみようかな、と、思うようになりました(笑)
    ※単なる一個人の感想です

    >「時間制御演出」
    「ボーカロイド」という、「歌声音声合成技術」があるのですが、実は、これのキモも、
    ・時間軸での、音声出力制御
    なんですよね・・・
    ※「周波数スペクトル上」で、いくら「人間の声」をマネしても「機械的な音」になるだけで、「人間っぽく」聞こえないのですが、これを、「時間軸中心」に制御すると、
    ・ホントに人が歌ってるように聞こえる
    のです・・・
    ※やはり、人間は「動き」に、「イロイロな情報」を載せてるんだなー、と思いました。
    >「美麗さで作品を評価するのは愚か」
    まさにその通りで、「色使いがいくらキレイ」でも、「魂がこもってない(死んでいる)」「無機的な絵」に、成るだけです。
    ※「魂」は、「動き」にこそ宿る、のでしょうかね・・・

    返信削除
    返信
    1. 絵画(静画)ですら、本当に良い作品は、
      ・今にも動き出しそう
      って、言われたりしますからね。(色がキレイ、とかだけでは評価されない。)

      削除
    2. >時間軸中心に制御する

      グルーブ感というやつでしょうか
      YMOがいろいろ実験してたとかいう

      楽譜に現れないレベルで音符を時間ずらしすると沖縄民謡みたくなったりして、へーっと思いました

      時間ずらしを排除するとテクノポップぽくなったり

      削除
    3. 単なる美麗さを追求して価値創造できたのは数年前までの新海誠が最期だったかも

      削除
    4. 人間の自然言語にも、語頭にアクセントをつけたがる言語と、語頭を弱く発音する言語や方言があるので、ああゆうのを再現しないと「ゆっくりマリサだぜ!」みたくなっちまうんでしょうなぁ

      削除
    5. 読者 ブルーレイ \ ? ブルーレイ / ? なCM

      削除
    6. あははは
      あのCMネタにはもう飽きましたね!
      終末トレインのCMでもやってたしw

      削除
    7. 読者 機械生産方式になって自動koma割りとかになりまして
      細かい演出の原画まんの仕事がなくなって 複雑な動作ばかりの金にならない仕事の業界になったそうで 大変らしい
      うる星1期の らむが廊下を飛んで 学校がぐるぐる回る背景はもうロストテクノロジー 

      削除
    8. >らむが廊下を飛んで

      1980年代の手描きアニメはよかった

      削除